「……ち、近くないかな?」
パチリと目を開けると早乙女君と響君とムース、麝香王朝の人達まで私の事を取り囲み、見下ろしていた。流石に、ちょっとだけビックリするかな。
「お前、心臓止まってたんだぞ!?」
「あ、うん、そうだね」
「近くに倒れとったライムもお主が心臓を貫かれたと叫ぶばかりで訳も分からなかったが、何がどうなっているのだ。糸色」
響君とムースの叫び声にどう説明しようかと悩みながら、何故かロンに貫かれたときよりも損傷の激しい服から溢れそうな胸を押さえつつ、カバンを探す。
チラリと見覚えのある服を着た男の人を見る。
「……ハーブ、男の人になったの?」
「元々の性別は男だ。止水桶の件について、糸色一族に聞きたいことが幾つもある」
「私もドラゴンの事について、ハーブに聞きたいことがあるかな。けど、その前に着替えたいから血走った目を向けるのはやめて貰えると……」
女の子は、私だけだから……その、ちょっとだけ怖いと思ってしまう。早乙女君達の事を怖がっている訳じゃないけど、九能先輩以外の男の人に肌を見られるのは抵抗があるというか、なんというか。
そんなことを思いながら、みんなが後ろを向いたり、離れてくれる事に安堵して、カバンを開けると何故か下着が無くなっていた。
……お爺ちゃんかな?と考えながらもセージと呼ばれていた男の人の腰から私のブラジャーが出ているのが見え、脳天にかかと落としを叩き付け、動かなくなった事を確認して着替えを再開する。
本当に泥棒は悪いことなんだよ?
そう言っても彼には聴こえていない。
ゆっくりと登山用のジャージに着替え……胸がつっかえる?まあ、いいや、みんなに「もう大丈夫だよ」と伝えると何故かまた視線を逸らされた。
「おのれ、九能め」
「シャンプー以上じゃぞ、あれは」
「落ち着け。あかねの親友だ」
そんなことを呟きながら可笑しくなっていく早乙女君達に小首を傾げつつ、ハーブ達を見ると四人とも鼻血を垂れ流している。
……私は破廉恥じゃないもん。
「とりあえず、一度旅館に戻るぞ」
「お姉さん、ぼくと泊まろう!」
「え?えと、うーん?」
さっきから胸を見つめる男の子と一緒に過ごすのは、ちょっと怖いからやめようかな。それに、妖しい人ばかりと思うのは悪いし。
みんなで泊まって貰っている間に、私は電車で帰ろうかな?と思っていたとき、お尻に誰かの手が触れた刹那、後ろに振り向くとセージがボコボコになっていた。
多分、触ったのは彼なんだろうね。