「切さん、大丈夫?」
「あかねさん、うん、大丈夫かな。けど、やっぱり吸引体質の人と会うのは大変だよ、得意な技は全部封殺されるから気功法を使う格闘家は絶対に勝てないもの」
「あの先生、そんなに強いの?」
「強いよ。多分、風林館高校最強だね」
そう言うと盗み聞きしたい早乙女君達が慌ただしく走っていくのが聞こえた。なんとなく分かっていたけど、早乙女君ってあかねさんの近くにずっといるよね。
「……なんで、そんなに詳しいの?」
「私の尊敬する類様が同じ闘気吸引体質なんだよ。二ノ宮みたいに容量に上限はないし。使おうと思ったら、触るだけで根こそぎ吸えるからね」
「厄介すぎるわね!?」
「フフ、そうでもないかな。その体質を利用してお医者様をしているし、闘気を分け与えて回復力を高めたり、色々と自由に使える体質かな」
まあ、類様に下剋上しようとした分家は文字通りに根こそぎ吸引を受け、お爺ちゃんのようにシワシワになったとか聞いたことあるけど。
流石に、それはあり得ないかな。
なにより類様は愛情深い人だ。色々な異能の発言しやすい北海道の糸色家に於ける『癒やしの力』という能力は、糸色景様の持っていた能力────。
それを使えるということは糸色景様の力を宿しているということ。私の待つ『鍵』とは少し違うけど、糸色家には様々な加護が集まっている。
「切さん?」
「ん、なんでもないかな」
私は闘気の他にも霊気を備えているから大丈夫だったけど。普通に食らったら干からびるね。
「死ぬなジジィーーーッ!!?」
ドタバタと保健室に入ってきた早乙女君の手にはカサカサに干からびたお爺ちゃんが乗っていて、辛うじて生きているのが分かる状態だった。
「強くてもああなるかな」
「お、恐ろしいわね。あとでシャンプーと右京にも教えてあげたほうがいいわ。流石に友達が干からびるところは見たくないし」
「私も小太刀さんに連絡しないとだね」
多分、早乙女君が闘気吸引体質を利用して強くなろうとしていることにあかねさんと私以外は気づいていないし。下手したら三人とも干からびる。
義妹の干からびた姿は見たくないかな。
「切君、会いに来たぞ!」
「げっ、九能!?」
「ムッ。何をしているのだ?」
「お爺ちゃんが二ノ宮先生に闘気を吸われたから、ここで休ませてあげてるんだよ。あかねさんもいるから、大丈夫でしょう?」
「フッ。流石はあかね君だな」
「いきなり褒められても困るわ」
それはそれと喜んでおけば問題ないかな。