校長先生の唐突な思い付きによって家庭訪問の実施を受け、私はどちらで受けるべきなのかを悩む。まだ学生だからお父さんとお母さんに伝えるべき?
それとも九能先輩とお義父さんと一緒に家庭訪問を受けるべきなのかと悩む。やっぱり、ここはお父さんとお母さんに来て貰うべきかな。
「と、いう訳なんだけど。これる?」
『長野まで来るのか?』
「えと、小鎌さん、どっちかな?」
「普通にマンションでしょうに」
「マンションだってさ」
『わかった。代にも伝えておこう』
そう言ってくれた事に安堵する私に句君は「オレはなびきと一緒に受けるのか?」と聞いてきた。どうなんだろう?前の学校だと家庭訪問なんて無かったし。
「……そういえば、お嬢様学校だったわね」
ファッション雑誌を読んでいた小鎌さんの呟きに句君は何故か優しげな目を向けてくるけど。ニュートンアップル女学院は設立当時から糸色家の息女は通うことになっているだけだよ。
妙様は光覇明宗や他の僧侶の通う宗教系女学院と交換留学していたそうだけど。ずば抜けた才能は誰にも理解されないものなのかも知れないかな。
「ところで、切さん」
「? なにかな?」
「帯刀君の事をいつになったら、普通に名前で呼ぶのかしら?少し気になっているんだけど」
「九能先輩が『節度ある交際をしたいから卒業するまで名前呼びは控えたい』って言っていたかな」
「プラトニックLOVEを気取る男が、旧家のお嬢様に縄やら蝋燭やら鞭やら、諸々の緊縛道具使うような過激な遊びを教えるわけないでしょうが。ドン引きも良いところだわ」
それは、そうなのかな?と小首を傾げながら、句君を見ると「少なくともオレは縛らねえな」と呟いて、すぐに「いや、なびきに反省を促すべきなのか?」と小声を発し、ウンウンと唸り始めた。
天道先輩、もしものときはごめんね。
「まあ、いいわ。それより三日も乱馬君達を見ないけど。どこに行っているのかしらね」
「さあ?どこだろうね」「オレも知らねえぞ」
そんなことを話しながら、私は静かに「九能先輩に普通の事だって聞いてたけど。アレって悪いことなんだ」とショックを受けていた。
自分のお嫁さんを縛るのは悪いことなんだ。
次に会ったときはウソを吐いた理由を聞いて、本当に悪いことなのかを教えて貰わないといけないかな。そうじゃないとお父さんとお母さんに心配を掛けてしまうし。色々と聞きたいこともあるから。
「あ、懸賞当たってるわね」
「何が当たったの?」
「ダンベル」
「ファッション雑誌にダンベル?」
────句君は困惑していた。