「ごめんよおぉぉ!!許してくれぇ~~!!このとおり、この通りだあああ~~~っ!!!」
土下座する勢いで、ペコペコと頭を下げて、情けない姿を晒す早乙女君にビックリしてしまった。ムースが使ったのかと思えば、やっぱりムースだった。
「ムースは卑怯者ある」
「あはは、本当に使ったんだ」
ちょーっと落胆したかな?と話しながら二人のやり取りを眺めていたと、あかねさんと右京さん、クラスメートのほとんどが泣いて謝る早乙女君に驚いている。
そういえば無敵鏡の事を知らなかったわね。
「臨気を出すなら、私も戦うよ?」
「……悪かった。落ち着いた」
ゆっくりと深呼吸して闘気を静めた句君に微笑み、をそんなにお友達が大事なら句君も助けに行ってもいいんだよ?」と告げる。
「わかった。ムース、オレはお前をぶん殴る」
「オラと戦うというのは、泣かされる覚悟があるということだな?句、貴様も泣いて謝れ!」
ジャラリと右手に鎖分銅を巻き付けて、怒りを四肢に込めて立つ句君に無敵鏡を向けるムース。────が、ムースの予想に反して、句君のパンチは彼の顔にめり込み、後ろに吹っ飛ばした。
「な、なぜ、効かん!?」
「オレはドSだ」
ムースの問いかけに句君は変な言葉を返した。
「ドSって、なに?」
思わず、隣に来ていた二ノ宮先生に訊ねる。
「えーっとね、うーんと、あ!好きな人を虐めたりするのが好きな人だったかな?サディスティック、サディズムとも言われているわね!!」
「じゃあ、九能先輩もドSだね」
私がそう言うと、なぜか一斉に校庭の方を見ていた生徒も教師も九能先輩に視線を向けた。驚愕や納得、羞恥、恋慕、羨望、嫉妬、色々と混ざり合った感情が、一斉に九能先輩に注がれる。
「切ちゃん、九能ちゃんに普段何されてるの?」
「え?」
いつの間にか近くに来ていた天道先輩に驚きつつ、こう言うのって言って良いのかな?と九能先輩を見ると「僕と君のハートフルなLOVEだ。何も問題なかろう」と真剣に頷いてくれた。
「さあ、早く教えて」
「お姉ちゃん、耳年増になってない?」
「縛ったりしてる、のかな?」
よく分からないけど。
九能先輩の、その、小太刀さんに見せてもらった破廉恥な本はそういうことが多かったから、こう言っておけば良いんだよね?
チラリと九能先輩を見ると「変態」や「流石は風林館高校の変態貴公子」「そんなんだから変態なんだよ」と言われている。