友引高校の二年生達と一緒に合同水難事故の防止授業を受けるため、砂浜に集まっている途中、ふと私を見つめる眼差しに気付いて、そちらに向く。
特徴的なツインテールと黄緑色の瞳を持つ女の子が私の方に手を振っているのが見えた。一瞬、誰かと間違えているのかと思ったけど。
やっぱり、そうだ。
「ひょっとして、
「そうだぜ、切ちゃん」
にんまりと笑う彼女が私の名前を呼ぶ。
彼女の名前は
糸色家の分家筋の一つ、しとりお婆様の次男の興した「
そして、かつては
「聞いたわよ。褸の事をこっぴどくフッたんでしょう。流石は切ちゃんと褒めてあげるわ!」
「んッ」
ワシャワシャと私の頭を撫でる滅さんに気恥ずかしさを感じながら、彼女の方を見ようとした刹那、私の眼鏡が外され、水泳用のゴーグルを差し出される。
「ちゃんとロッカーに預けて来なさい」
「フフ、先生みたいだね」
「私は先生だぜ、切ちゃん!?」
「知っているかな」
そう話していると、あかねさん達が私と滅さんの会話に戸惑っているのが見え、「こちら、私の従姉妹の糸冬滅さん。友引高校を引率する教師。こちら、天道あかねさん。私の親友かな」と伝える。
「ご丁寧に有り難うね。初めまして、噂は予々聞いているわよ、風林館高校の誇る二大バカップルの片割れでしょう?」
「「だれが、こいつと!?」」
「なんだよ!」「なによ!」
いつものように喧嘩を始める二人に思わず、クスクスと笑いながら私は滅さんを見る。序列2位の大君と、序列1位の遠君を除けば糸色家の女子最強の一人だ。
一番強いのは妙様だけど。
「しかし、私より先に結婚するなんてね」
「んッ、怖いかな」
そう言って押し退けるものの、滅さんは物凄く怖かった。いや、妙様や類様と同じくらい綺麗なのに、どうして結婚しないんだろうね。
すごーく不思議に私も思っているかな。
「はあ、ピンと来る男がいないのよね」
「理想が高すぎるんじゃねえの?」
「そこ!おさげの男の子、私の理想は高くなんかないわよ!顔と性格が良ければいいもの!」
「ちなみに糸色の旦那は、これな?」
「……か、かっこいいじゃないの」
私と九能先輩のツーショットを、なんで早乙女君が持っているのかすごく気になるけど。今は学校の授業の方が大事だから、あとで聴こうかな。
糸冬滅、御年27歳
好きなタイプは、切れ長の目が良い男。
チャームポイントは、ツインテール!
絶賛、彼氏募集中。
「……文字が浮かんでるかな」
「フッ、モヂカラを使えるのは私もよ」
それは、みんなに内緒かな。