「早乙女君の偽物?」
「えぇ、どういうわけかは分からないけど」
「けっ。あの偽物野郎が次は絶対に勝つぜ」
そう言うと早乙女君は机に身体を預け、眠ろうとしたそのとき、ゴリゴリとかバキバキとか騒々しい音を立てて黒板は真っ二つに裂けた。
あの時の迷彩柄のズボンを履いた青年の登場に、まさかと思って早乙女君とあかねさんを見ると頷き、彼こそが早乙女君の偽物だと教えてくれた。
全然、似ていないかな。
「よう。本物……それと、糸逢だな」
「? 私を知っているの?」
「ああ、知っているさ。早乙女玄馬、糸逢目、お前達の父親に復讐するためにオレは生きてきた!その成果をテメェらに味わわせてやる!」
突然の決闘の申し込みに戸惑いつつ、お父さんを狙っているのなら受けるべきだと私は「わかった。けど、戦うときは一人ずつにしてほしいかな」と伝える。
二対一は卑怯だからね。
「ならば先に貴様だ。早乙女乱馬、お前の全てを奪って破壊してやる!それがお前の父親にぶつける最高の仕返しになる!」
その考え方は違うんじゃ?と思いながらも私は帰っていった青年の後ろ姿を眺める。お父さんに恨みがあるのなら、私が受け止める。
「はーい、授業をするよー。あれ、黒板は?」
「二ノ宮先生、黒板は壊れましたよ」
「えぇー!?」
驚きたい気持ちはすごーく分かるかな。
けど、あんまり大袈裟に驚いたりすることはない。「うーん、どうしっかな」と悩む二ノ宮先生。すると、暫くして何かを思い付いたかと思えば「よし、今日は自習だよ!」と笑顔で宣言した。
やっぱり、二ノ宮先生はかわいいかな。ただ、どうしても気になることはいくつかあるけど。今は授業を受ける学生だからと甘えるのは少し悩む。
「糸色さん、理由を教えて!」
「教えてと言われても」
そんなことを考えながら、二ノ宮先生の事を見つめる。わりと先生もそういうことに興味を抱くのかと私も興味を感心する。
いや、教師だから当然かな?
「(それにしても、お父さんに恨みを抱くなんて彼は何者なのか。どうして、お父さんと玄馬さんの二人を狙うのかも聞いておきたい)」
「あの野郎、絶対にぶっ飛ばしてやる」
「気を付けろよ、乱馬」
句君と早乙女君の二人は本当に仲良し。
出来るなら私も加わりたいけど。決闘を申し込まれた以上、私も本気を出して戦わないといけない。素手の本気は寝崑崙にいったとき以来になるかな。
本当に随分と親しんでいる。
「(私も、ふたりに習って戦うときは本気になる)」