「九能先輩、ここが話してた道具屋さん?」
「うむ、本条姉弟の探す大鎌の目撃情報もある。何より新撰組の副長・土方歳三の刀もあるという噂も聞いている。是非買い取りたい」
「そうなんだ」
「句、さっさと来なさい」
「待てよ、姉ちゃん。この鎖分銅、どっかで見た覚えがあるから見させてくれよ」
本条家の家宝を探す句君と小鎌さんの二人は店内の武器棚を漁っている。小鎌さんは仕込み杖を手に取り、その刀身を確かめている。
かなりの業物だね。
「その仕込み杖はかつてぬらりひょんという妖怪が愛用していたという曰く付きの品でのう」
「えっ。やだ、ばっちいの?」
「姉ちゃん、投げるなよ」
ぽいっと投げた仕込み杖を受け止めた句君は仕込み杖を引き抜き、ジロジロと刀身を観察していたかと思えば噛み砕こうとしたため、三人で止めた。
句君、たまにおかしくなるけど。
やっぱり本条家には呪いでもあるんじゃないかと怪しんでしまう。まあ、実際に小鎌さんは男の子に変身する特異体質だね。
「ムッ。何やら面妖な卵が」
「本当だ、卵だね」
「でかいし、ダチョウか?」
「あったわね。テレビで見たわ」
九能先輩の見つめる先に「光」というシールを貼った全長30センチは越えていそうな大きな卵を見つめていると、さっき仕込み杖の事を教えてくれた店主が、私達に「それは鳳凰の卵と言って」と解説してくれた。
要するに「幻獣の卵」というわけかな。
「幻獣拳に所縁のあるものか。あるいは」
「切ちゃん、幻獣拳ってなんだ?」
「え?あ……」
「九能君、糸色家に伝わる尋問術の本よ」
「ムッ?……こ、これは!」
待って、待って下さい。
尋問術ってなに?
そんなの私は習ってないのに、どうして小鎌さんがその本を持っているのかを教えてほしい。待って?ねえ、九能先輩もなんでそんなに楽しそうにしているのかな?
「姉ちゃん、オレ尋問術とか知らねえんだけど」
「当たり前よ。アレは糸色景の旦那の編み出したという相楽家に伝わる尋問術だもの。糸色家と相楽家はいつまでも仲良しなのよ」
「きゃあっ!?九能先輩、なんで担ぐの!?ねえ、なんで黙るのかな!?ねえ、ちょっと、聞こえてないのかな!?九能先輩!?帯刀君!!?タッチー!!!?」
私の事を俵のように抱き上げる彼に叫ぶ。
しかし、答えは帰ってこない。
「姉ちゃん、すげえぜ。いつもほのぼのしてる切ちゃんがテンパってやがる」
「女の子はね、焦るとああなるのよ」
そんなことは知りたくなかったかな!!?