「うむ、善き食べっぷりだ」
「美味しそうに食べるね」
私のお膝の上に座った鳳凰の雛は私の手のひらに乗った豆を食べて嬉しそうに笑っています。早乙女君以外のご飯は受け取るのに、ここまで来るともはや遺伝子レベルで早乙女君を嫌っているね。
まあ、そういうこともあるよね。
「こ、このデブ雛が!」
「クェーッ!!」
ピカッ!と羽を光らせて目潰しをしたと同時に鳳凰の雛は早乙女君のお腹に突撃し、ギュルンッ!と身体を錐のようにねじって早乙女君を吹き飛ばす。
「ホウ、見事な嘴だな」
「鳳凰剣ってこれか?」
「くぇー」
「フフ、強くて良い子だねえ」
よしよしと私の膝に飛び乗ってきた鳳凰の雛の頭を優しく撫でてあげつつ、しくしくと雛に負けたことにショックを受けて、泣いている早乙女君を見下ろす。
「店主のおじさんに育て方を聞こうか?」
「ムッ。育てるのか?」
「うん。よろしくね、トリさん」
「「「「「(名前のセンス、すごいな)」」」」」
なにか言いたそうにするみんなに小首を傾げる。
みんなも名前を付けたかったのかな?と考えながら、のんびりとトリさんの背中を撫でると羽とトサカの大きさが増し、飛び始めた。
「孵化してまだ二時間で飛んだわよ」
「あたしの知ってる鳥じゃないわ」
「フェニックスだからじゃないかな?」
「灰を食べたら若返るやつか」
「サージェスの博物館にあった気がするけど。大きくなったらサージェスに預けた方がいいのかしら?」
小鎌さん、なんてことを言うのかな。確かにサージェスと糸色家は仲良くしているし、スポンサー契約を交わしているけど。
この子は渡さないもん。
「くぇー」
「……フフ、もっと食べたいかな?」
「けっ。デブ雛が」
「クェーッ!!!」
「うぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!!」
「「自業自得だな」」
早乙女君も分かっているのに煽るし、喧嘩を売るのがいけないと思うかな。けど、トリさんの飼育方法を知っているとしたらサージェスぐらい。
もしものときに備えて、私も頑張らないといけないかな。なんだかサージェスも秘密にしていることがあるみたいだし。そっち方面に詳しい分家もいるけど。
私の身体に収まっている『地獄の鋼の鍵』を狙っているというか調べたくて調べたくて調べたくて仕方がないという感じだから、すごく怖い。
前も左目を治すとか言って、眼球に舌を這わせるという奇っ怪な行動を取ろうとするお姉さんに会ったことあるし。あの分家にはあまり近づきたくない。