「…この子って女の子かな?」
「私に貸してみなさい」
「なびき、わかるのか?」
「ヒヨコ検定の資格は持っているわ」
「えっ、お姉ちゃんそんなの取ってたの?」
「フッ。高時給の魔力には逆らえないわ」
私の抱っこしていた鳳凰のトリさんを抱き上げ、静かに観察していた天道先輩は「この子は雌ね。良かったわね、雄だったら卵は産めなかったわ」と言われた。
フェニックスは卵を産むのかな?
そんなことを考えながら頭の上に乗ってきたトリさんは帽子のようになった。ロシアの帽子(確かウシャンカ)に似たような見た目になっている。
どういう原理なんだろう。
「耳が暖かい」
「くぇー」
「お?おお……」
「いずこへ!?」
パタパタと羽ばたいたかと思えば私の身体は緩やかに浮遊し、慌てて私の身体を小鎌さんとあかねさんが掴んでくれたものの、九能先輩は私のスカートの中を覗き込むように身体を曲げていた。
男の子はハレンチすぎると思う。
「しかし、どうする?流石に学校に連れていったりするのは無理だろうし、さっさと成鳥にしてやったほうが良いんじゃねえか?」
「乱馬、良いこと言うわね」
「先ほど店主に貰った飼育方法の巻き物がある。ふむ、成る程、そうなるのか」
「九能ちゃん、私も読むわ……あらら」
「なによ?えぇっ?うっわあぁ……」
九能先輩と天道先輩と小鎌さんの三年生組の反応に私達は戸惑いつつ、巻き物に書かれている言葉を教えて貰うのを待っている。
「結論を言おう。成鳥に成るには百年掛かる」
「鳳凰の雛鳥だし、ご利益あるわよ」
「本条家も飼育は手伝うわ」
みんなの優しさに涙ぐみ、嬉しくて抱きつこうとした瞬間、トリさんのドリル突きが早乙女君のボディに再び見舞われ、彼は本当に動物に嫌われやすいようだ。
「早乙女乱馬、お前はアレだな。ひょっとしなくても動物に嫌われやすいのか?」
「そ、そんなわけあるかよ!?」
「クェーッ!!」
「イデデデデッ!!?」
「「「嫌われてる」」」
「あはは、すごいね。トリさん、攻撃しちゃダメだよ?その人は私のお友達だから、優しくしてあげてほしいんだ。お願いできる?」
トトトトトッ!と早乙女君の事を突いているトリさんを抱き上げ、そうお願いすると「くぇー」と鳴いて、頬擦りしてきた彼女に頬っぺたを合わせる。
フフ、かわいいねえ♪︎
「うむ、是非我が子にもしてほしいものだ」
「あら、九能ちゃんもうご予定が?」
「学生結婚は済ませた。あとは分かるな?」
「フッ。九能ちゃんのそういう潔さと勢いのあるところは嫌いじゃないけど。その余波を受ける私達の事も考えて貰えるかしら?」
「?」
何の話をしているんだろう?