「お嬢さん、お嬢さん」
いきなり私の目の前に現れた女の子に驚きつつ、ニコニコと笑っている彼女の態度に小首を傾げていた刹那、頭の上にお花を植えられた。
「依頼完了。次は怨敵シャンプーを倒すどうぞ」
「さらば。
「えと、この髪飾りだけど。いくら?」
「五千円どうぞ!」
「じゃあ、二人だから一万円だね」
「太客!」
そそくさと去っていく二人に増えた女の子を見送りつつ、私は頭に差された花を撫でる。見たこと無い花だけど、素敵なプレゼントを貰ってしまった。
フフ、お花の髪飾りなんて可愛いね。
嬉しくて商店街の中を歩いていると私の事を見つめる視線の多さに警戒し、近寄ってきたスーツ姿の男の人の顎を裏拳で弾く。
すると、さっきまでの警戒がウソみたいに消えた。
なんだったのかな?なんて思いながらも歩いていると句君を見かけ、手を振ると駆け足で近寄ってきた彼は徐に私の頭に生えていた髪飾りを引き抜いた。
「切ちゃん、蜂が寄ってくるぞ」
「流石にまだ大丈夫じゃないかな?」
「大丈夫じゃねえよ。オレは訓練するとかカッコいいこと言ってた親戚が刺されまくっているのを見てたから蜂の脅威は知ってるつもりだ」
「そう、なんだ。分かった、ありがとう」
折角貰った髪飾りなのに残念かな。
「ところで、小鎌さんは?」
「姉ちゃんは仕事だ。中国から二人組の薬師が来てるらしくてな、切ちゃんを狙ってるんだと」
「二人組の薬師?」
「おう。気を付けろよ、切ちゃん」
句君の言葉に頷きながら、さっきの二人が犯人なのかな?と想像してしまうものの。あまり強そうには見えなかったから、戦うタイプではないのかも?
「しくしく。ひどいわ」
「あんまりよ、うぅ」
「演劇部の練習か?」
「句君、みんな風林館高校の空手部だよ。それに頭に着けているのは私が貰った髪飾りと同じ」
「やっぱり、毒薬じゃねえか」
「むう」
みんなの髪飾りを取って上げ、猫飯店に入ると乙女チックになったムースをシャンプーが蹴っていた。酷いけど、いつもと変わらないかな。
「どうして、私が二股女扱いされるね!私、愛してるの乱馬だけある!ムースは興味ないね!」
「ひどいだぁ…オラとは遊びだったか…」
「ムキィーーーッ!!キモいある!」
「すげえな。シャンプーが発狂してるぜ」
「あはは、すごいね」
シャンプーでも、そういうことはあるんだね。けど、浮気や二股は悪い文明だから、本当に二股しているなら私も本気で怒らざるを得ないかな。