「ちょっと出てくる」
「行ってらっしゃい」
ヒラヒラと句君の事を見送る。
この前、天道先輩とデートしたから少しだけ不機嫌になっているように思う。小鎌さんは「なびきに嫌われたんじゃないの?」と言っていた。
けど。そんなことあり得るのかな?
好きな人を嫌いになるなんて私には想像できないんだけど。いや、九能先輩に悪いところが一つも無いからなのかも知れないかな。
「あー、理由分かったわ」
「え?もう分かったの?」
「えぇ、これよ」
そう言って小鎌さんに差し出されたものを見る。レシートだね、わあ、すごい0が並んでいる。私の貯金に匹敵するんじゃないかなこれ。
「火車王金之介?」
「かしゃおう。初めて聞く名前かな」
「私も初めて聞くわね」
おそらく句君はこの果たし状の相手と戦うために向かったんだろうと想像し、私と小鎌さんは句君の事を追いかけようかと話し合う。
もしものときは、いつでも助けられる。
そのために私も小鎌さんもいたい。けど、男の子はものすごーく負けず嫌いだから、私達に出来ることは殆んどないのだ。いや、あるにはあるけど。
多分、きっとそういうものではない。
「句のヤツ、本気なのね」
「句君はずっと本気だったんじゃないかな?一目惚れしたって言ったときから、ずうっと天道先輩だけを見つめて、好きになっていく」
そう言葉を区切って、小鎌さんを見遣る。
「私達とおんなじだね♪︎」
「……フフ、そうね。恋に男女も関係ない。好きなら直球勝負!ダメだろうが何だろうが貫き通してこその愛があるのよ!」
「そのとおりだよ!」
うんうんと小鎌さんの言葉に私も頷いて、彼女の宣言するように笑う。好きな人に好きと言えるのは、とても大事な事だもんね。
「ところで、どんどん増える借用書はなに?」
「天道先輩の名前がある」
「なびき、何を?」
チャイムの音を聴いて、玄関のドアを開けると「連帯保証人」の項目に私の名前があった。なぜ?と困惑する私の代わりに、小鎌さんが対応してくれた。
「……2億……」
「一体、何を買ったのかしら」
「払った方がいいのかな」
「句が代わりに払うわ。切さんは難しく考えずに普通にしていてちょうだい」
そう言われ、私も頷く。
それにしても、こういうものって何処で契約するんだろう?そもそも三人で暮らすまで買い物も何もかも見て、欲しかったら聞けば良かったから……。
そういうものなのかと思っていた。
兎に角、見る。
欲しかったら聞けば買って貰える。
多分、私はやっぱりずれている?