「九能先輩、首輪欲しいの?」
「何故、そうなる」
「だって、ワンちゃん見てるし」
「普通は撫でたいとか触りたいとかじゃないか?」
「そうなの?」
「切君は昔から抜けているな」
そう言うと九能先輩はペットショップに向かい、ピンク色の首輪を買ってきた。スッと差し出された首輪を受け取って、九能先輩に着けてあげる。
「そうじゃないだろう」
「?」
「……何故、あんなことやそんなこともしているのに、こういうところは鈍いんだ?」
「えと、ごめんね?」
「大丈夫だ」
九能先輩は首輪を着けたまま私の手を握り、一緒に歩いていると私の身の丈に迫る巨大なブタさんを見つけ、響君と、響君を追い掛ける女の子を見掛けた。
何だったんだろう?
「切君の友達は愉快だな。しかし、公道をああも爆走するブタを見るのは初めてだ。…ブタの、衣装も中々…」
「? 何か言ったかな?」
「いや、何でもないぞ。ところで切君は動物の着ぐるみというのは好きか?」
「動物の着ぐるみ。うん、可愛いのは好きかな」
「犬とブタならどっちだ」
「ウ~ン、やっぱりワンちゃんかな♪︎」
糸色本家。
しとりお婆様の傍に控えるドン*1っていうワンちゃんも可愛くて大好きだった。
ネコの親分や、ムジナのボスも、みんな可愛くて、本家に居るときは御意見番のしとりお婆様や北海道のひとえお婆様も優しく私を普通の女の子として扱ってくれて、ずうっと素敵なお祖母ちゃんだもんね。
「んッ……なんで首輪つけるの?」
「ちょっとした予行練習だな」
「?」
九能先輩の呟きに私は小首を傾げながら、歩いていると早乙女君とあかねさんを見掛ける。
「あかねさん、こんにちは」
「あ、切さん、こんにち……九能先輩?」
「うげっ、先輩そういう趣味かよ」
「フッ。切君には気付かれていないぞ」
「「気付けよ、そこは」」
この首輪が気になるのかな?なんて思いながら首輪を外して見せると九能先輩は悲しそうにするので、九能先輩の首に着けてあげる。
「切君、そういうところだぞ?」
「あかね、行こうぜ。九能先輩が怖えわ」
「そ、そうね」
二人に手を振ってみると「乱馬は、ああならないでよね」とか「お前、あれは無理だろ」とよく分からないことを話し合いながら、離れていく。
「切君、あそこに新しく出来たお店があるんだ」
「そうなの?」
「うむ、一緒に行こう」
でも、あそこ動物の玩具屋さんだよ?