「猛筆雷神拳?」
「えぇ、お爺ちゃんの知り合いらしいんだけど。そっちのほうに何か話しとかある?」
「初めて聞く技だけど。どういう物なの?」
「書道の技に似ているんだけど…」
「単なる格闘書道じゃない?」
そうなると彼の知り合いかな?と想像するも九能先輩が怒りそうなので内緒にしておく。けど、少なくとも私には関わりはないかもね。
「どうせ、そんなこったろうと思ったぜ」
「早乙女君、負けたの?」
「負けてねえよ!!……あのクソガキ、事ある毎にあかねに抱きつきやがって」
「ジェラシー感じてるんだあ♪︎」
「乱馬、そうなの?」
「そ、そんなんじゃねえよ!」
早乙女君は顔を真っ赤にしながら走り去っていき、ちょっとだけ可愛いと思ってしまったのは内緒にしておこう。あかねさんもクスクスと笑いながら、早乙女君の事を見つめているし。
そう思っていると空から黒い何かが飛来し、私の胸に飛び付いてきた。
「今までで一番大きい!」
「えと、ありがとう?」
「ありがとうじゃないわよ、切さん!」
あかねさんに引き剥がされた男の子は近くを歩いていた早乙女早雲に預け、私とあかねさんは九能先輩と、先に行ってしまった早乙女君の待つ広場に向かう。
「ムッ。今日も綺麗だな、切君」
「フフ、ありがとう。九能先輩もかっこいいよ」
「うむ、君のために鍛えたからな!」
「……バカップルがよぉ」
「ふーん、なら乱馬もあれぐらい出来るわよね?」
「ッ、お、おう」
私と九能先輩って出汁に使われたのかな?と思いながらも初々しくあかねさんのことを「きょ、今日も、かわいいぞ」と褒める早乙女君に私達は頷く。
好きな人を褒めるのは当たり前だからね。
「おねいちゃん」
「え?あ、さっきの男の子……」
「ムッ。浮気か?」
「浮気じゃないよ。浮気は悪い文明だもん」
そう言って私は抱きつこうとして来た男の子を受け止め、ゆっくりと地面に降ろしてあげる。ちゃんと親のところに帰らないといけないんだよ?
あと、いきなり女の子に抱きつくのはダメ。
好きな女の子に抱きついて、嫌われるのは悲しいでしょう?と優しく教えていると、むにゅうっと私の胸に手を当てて反省し始める。
「こんの痴れ者めがぁぁぁ!!!」
「あ、あはは、九能先輩落ち着いて」
「早乙女乱馬、どうせ貴様の知り合いだろう!」
「知り合いじゃねえよ」
あかねさんを見ると苦笑いを浮かべるばかりで、どうにもあの男の子は危険な存在というわけではない。もしかしたら、知り合いじゃなくて、弟子とかかな?