「猛筆雷神拳!!」
「いきなり、どうしたの?」
大筆を振り下ろし、墨汁を落とす楽太郎君の攻撃を躱し、連続で放たれる膠の攻撃を飛び退き、大きく退くように防ぐ。服に墨汁を付けたくないからね。
それにしても、本当にいきなりだな。
「おねいちゃん、覚悟!!」
虹色の蝶々の群れが現れ、思わず見惚れてしまう。が、私の近くに潜んでいたのか。お爺ちゃんが癇癪玉を地面に叩きつけ、煙幕を作り出すと。
すぐに、私の手を掴んで走り出そうとするも身長差を考えて、私の事を担ぎ上げるお爺ちゃんにビックリしながらもされるがまま、屋根を伝って逃げる。
「切ちゃん、此方じゃ!」
「お爺ちゃん、何で逃げるの?」
「あやつは切ちゃんを狙っておる!!」
そう言うと玩具のような道具を取り出して、虹色の蝶々の群れを退けるお爺ちゃんをみおろす。いつもハレンチなのに、どうして私を助けてくれるんだろう?
そんなことを考えていると、早乙女君とあかねさんもやって来てくれ。楽太郎君の事を止めようとしてくれるもすばしっこいのか。
ふたりら捕まえられずにいる。
「猛筆雷神拳!!」
「八宝大火輪!!」
虹色の蝶々と爆炎が混ざり合う。
戦えば普通に勝てると思うんだけど。
「くっ。手数の多さで負けるか!」
「降ろしていいよ、お爺ちゃん」
「いやじゃ!」
私のことを離そうとしないお爺ちゃんに困りながらも走っていると、早乙女君の放った飛竜昇天破が楽太郎君どころか私を抱えていたお爺ちゃんまで巻き込み、強烈すぎる竜巻の中を泳ぐ。
流石に飛んだりするのは辛いかな。
「乱馬、切さんまでとばしてる!?」
「なにぃ!?」
私の事を見上げる早乙女君とあかねさんに手を振りたいけど。ちょっとでも姿勢を崩せば私も飛竜昇天破の破壊力を受けることになる。
「どうする?お爺ちゃん」
「ラッキーを捕まえるかのう」
「ん、わかった」
槍を引き伸ばして、気を失った楽太郎君の事を捕まえるとお爺ちゃんが素早く彼の身体を縄で締め上げ、ゆっくりと身体を振り上げる。
「さて、どうやって降りようかな」
「ワシの闘気で受け止めるか?」
「ううん、大丈夫かな」
緩やかな動きで身体を広げ、空気抵抗を受けることで滑空する。スネーク拳は陸海空の全てに適応できる、とても優れた流派だからね。
早乙女君のタイガー拳ほど破壊力に特化した流派もかなり珍しいけど。こういうオールマイティーに動けるのはヘビの特徴だから好きだよ。
「よいしょっ、と」
トタン、と軽やかに着地して気を失った楽太郎君の事を早乙女君に預けると梱包して、郵便ポストに投げ込んでしまった。よく入ったね。