かっこいい太郎の言い分を信じると、偶然入浴を覗いてしまった挙げ句、相手の宝物を盗んだということになるんだけど。
「あかねさん、その人が?」
「えぇ、ウチに落ちてきた人」
「初めまして、ルージュと申します」
穏やかな笑みを浮かべた彼女はお辞儀しようとしたその時、私の胸を凝視したかと思えば、恐る恐る胸を掴んできた。みんな、いつもいつも私の胸を何だと思っているのかなぁ?
「……あ、す、すみません!あまりにも大きくて肩凝りが酷そうだと思ったんです」
「ああ、分かるかな?」
「あたしも分かるわ。その気持ち」
ルージュさんの言い訳に何となく理由を察し、私が聞き返すとあかねさんもルージュさんも頷いてくれ。天道家のリビングでテレビを見ていた早乙女君の耳が真っ赤になっていく。
早乙女君、直ぐにいつもなら離れるのに、離れないということはルージュさんを警戒しているのかな。おそらく、かっこいい太郎の覗いた相手はルージュさんだ。
けど、邪悪な気配は感じない。
「早乙女乱馬、少し手伝え!」
「てめえは、パンスト太郎!?」
「オレはかっこいい太郎だ!!」
そう言って怒るもルージュさんの存在に気づき、私の存在にも気づいたかっこいい太郎はダラダラと冷や汗を流し、逃げようと後ろ向きになった瞬間、雷鳴と業火の竜巻が同時に彼の身体を貫いた。
「このゲス野郎がァ~~~~っ!!!」
「……アレってルージュさん?」
「うん」「そーだよ」
「わあーお」
阿修羅のように三面六臂の存在に変身したルージュさんに「誤解だ!!」「オレは盗んでいない!」と必死に叫ぶかっこいい太郎の事を見つめる。
「で、どうするんだ」
「当事者で解決するならいいけど。この道場って修繕費は降りるのかしら?」
「切君、怖いこと言わないでね」
「早雲さん、そう思うなら止めなきゃダメだよ?」
そう言いながら私は六本の腕で殴られ続けるかっこいい太郎に業火を放とうとするルージュさんに向かって槍を投げ飛ばす。
「貴様ッ!!」
「もう終わりにしてもらえるないかな?ものすごーく不満だけど、かっこいい太郎は誰かから何かを盗んだりする人じゃないよ」
「ならば貴様に聞けばいい!!」
「家は住むもの。壊すものじゃないかな」
三面其々の顎先を撫でて意識を奪う。
脳はひとつだから弱点が増えただけだね。
「たまに思うけど。切さんって躊躇なく相手の顎先を叩くわよね」
「怪我させるより早いからね」
そう言って私は意識を失ったルージュさんをリビングに運び込み、ボロボロになったかっこいい太郎の事も抱き上げて、リビングに寝かせてあげる。