何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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歳の数も減る 序

あかねさんと勝負して二週間ほど糸色家に伝わる謎の石風呂*1にあかねさん共々押し込まれ、骨折や内出血は完治した。

 

アレって石風呂じゃなくて、鉄風呂なんじゃ?とも考えたことあるけど。それよりも古書店に売っていた戦国時代の冊子を買えたのは良いことだ。

 

「今日は良いものが買えたかな♪︎」

 

ルンルンと嬉しくて弾む気持ちを抑えきれずに本を抱き締めていると空き地に響君の荷物と、あかねさんの飼っている黒豚の子ブタが座っているのが見えた。

 

「こんにちは。何してるの?」

 

「ぷぎっ」

 

子ブタを抱っこして土管に腰掛けながら話し掛けると、なんだかこの前よりも小さく見える子ブタに小首を傾げながら見ていると早乙女君が通り掛かった。

 

「なんでえ良牙じゃねえか」

 

「ぶぎゃっ!」

 

「? どこに響君がいるの?」

 

「(なんでえ良牙のヤツ、糸色にも教えてねえのかよ)なーんだ。ただの見違いだったみたえだな。この豚が良牙のヤツに見えちまうなんてよ。なあ?」

 

「ぷぎぃー!」

 

ポカポカと蹄をぶつけられる早乙女君にクスクスと笑いながら、響君の荷物を彼に預けて、私は子ブタを抱っこしたまま歩き出す。

 

「糸色、豚もオレが持つぞ?」

 

「大丈夫だよ。軽いし」

 

「そうか?」

 

「うん」

 

ゆっくりと耳を歩きながら、あかねさんとは進展があったのかを聞けば顔を赤くするばかりで答えてくれない。いい加減に両片想いを終わらせれば良いのにね。

 

「子ブタもそう思うよねえ」

 

「ふぎっ」

 

「けっ」

 

照れ隠しにいつも斜め上を見上げる癖は治っていないし。その癖にあかねさんも気付いている。正直、そういう癖が多いのは可愛いと思うかな。

 

「……そういえば糸色よお」

 

「なにかな」

 

「あかねと戦ってたとき、弁償させるとか言ってた眼鏡。すんげえ高かったらしいな」

 

「左右のレンズの度数が違うからね。フレームも直して貰ってる途中だよ」

 

あれはお婆ちゃんの形見だもん。

 

綺麗に直っていると良いんだけど。戦う前に外しておけばあかねさんも困らずに済んだかもしれないし。失敗しちゃったな。

 

「早乙女君は私の目を見ても汚いとか言わないね」

 

「おいッ、だれだ?それ言ったヤツ!?」

 

「え?あ、ああ、えと、今のは聞き流して」

 

「聞き流せるか!!」

 

不味いなあ。

 

眼鏡が無いからセンチメンタルになっちゃってる?と少し目元を隠して考えてしまう。左目が壊れたとき、お婆ちゃんに御守りとして眼鏡を貰った。

 

元々は糸色景様の遺品のひとつ。それを孫のお婆ちゃんが貰って、私に譲って貰ったものだから魔除けや不思議な力が宿っていたのかも知れない。

 

ほんとう、目が疲れる。

 

 

 

*1
核鉄

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