「こ、このやろう…!」
「ざまあみろ!」
天道道場の母屋。
私は子供に戻ってしまった響君。煽って怒られ、同じキノコを食べてしまった早乙女君の事を見下ろす。すごーく可愛いのは分かるけど。
なぜ、女の子に?と困惑する。
「あかねさん、どうするの?」
「一先ず、愛でるわ」
「さては楽しんでいるかな?」
ウキウキと早乙女君と響君の事を抱き上げたあかねさんは手慣れた動きで二人に子供の頃の服を着せて、満足そうに笑っている。
「九能先輩に使ってみようかな」
「やめろ!」「やめてやれ!」
ポツリと呟いた私に早乙女君と響君は必死に止める。けど、坊主頭で可愛かった頃のタッチーにもう一度だけ会ってみたい気持ちもあるんだよ。
罪深いと分かっているけど。
「切ちゃん、迷うならやってみたら?」
「天道先輩、そのカメラときのむぐっ」
私の考えを肯定してくれた天道先輩のほうに振り向くと茹でたキノコを持っていて、口の中に押し込まれた瞬間、ゴクンと飲み込んでしまった。
刹那、いつもより視線がすごーく低くなった。
「ふ、不覚ぅ…!」
スカートは落ちて、ブラジャーもサイズが合わずに落ちてしまった。小学生低学年か幼稚園を卒業した子供くらいのサイズになってしまった。
両手を廊下について、項垂れる。
「良いわよ、その顔!仕草!売れるわ、九能ちゃんなら大金叩いて買ってくれるわね!」
「いや、その必要はない」
「あ、九能先輩」「あら、お客さん?」
「ゴキブリかテメェ」「どこから来たんだ?」
いきなり現れた九能先輩を見上げ、穏やかな表情を浮かべた九能先輩は私の脇に手を通して、ゆっくりと抱き上げるとお腹に顔を押し付けてきた。
「んッ、くすぐったいよぉ…タッチー…」
「うむ、やっぱりしほちゃんだ」
「「「「へ、変態だあぁぁーーー!!」」」」
みんなの叫び声が木霊すると早乙女玄馬と天道早雲が将棋を打つ手を止めて、私達の事を見ると「そうか。もう初孫が産まれたんだったな……」と涙を流して、謎の回想を流しているように思えた。
「では、失礼する」
「あ、ちょっと!?」
「みんな、九能ちゃんを止めなさい。彼はおそらく切ちゃんに光源氏*1をしようとしているわ!!」
「ひか、なに?」
「知らん。中学で習ったか?」
「このお馬鹿共めが!」
早乙女君と響君は首を傾げながらも小さな身体で私の事を助けるために追いかけてきてくれた。
「ねえ、タッチー」
「なんだ、しほちゃん!」
「えいっ」
ぎゅうっと九能先輩の頭を抱き締めると動きが止まり、路地の真ん中で倒れた。