「ムッ。君は確か糸色家の…」
あかねさん達と別れて子ブタを探すために商店街の中を歩いているとあかねさん達のお父さん、名前はたしか天道早雲だったかな?と遭遇した。
私が遊びに行くときはあまりお話しできない人だ。別に私の事を嫌っている訳でも警戒している訳でもなく、純粋に会えるタイミングがないだけ。
たまに感じる視線の一つは、彼だろう。
「糸色切です。切断や縫切の切です。おじさん」
「切君だね。うん、覚えたよ。今日はあかねと一緒にスケートに行くと聞いていたのだが、あかね達とはもう解散したのかい?」
「今は離れてペット探し中なんだけど。おじさん、ここの近くで子ブタを見なかった?」
「子ブタ……あれかな?」
そう言って天道早雲の指差す方に視線を向けるとあかねさんとスケートリンクの上で出会った女の子が子ブタを取り合っているのが見えた。
何故か壬生先生も一緒にいる。
「ふむ、見つかったようだね」
好々爺のように微笑んだ天道早雲の後ろ姿に何となく突きを繰り出した瞬間、パシンと打突の衝撃は霧散し、私の関節を突く指は動かなくなる。
「弱いふりして楽しいの?」
「僕はもう歳だからなあ…あかねと乱馬君が無事にくっついてくれれば安心して早乙女君と最期の勝負に挑めるんだけど。中々に二人とも意地っ張りでね」
「分かる。勿体無いですよね」
ウンウンと彼の言葉に頷きつつ、彼の入っていく団子屋に着いていき、みたらし団子を注文する。
「こんなおじさんに着いてきて楽しいかい?」
「楽しいですよ。多分、本気の貴方はあかねさんや早乙女君より強いだろうし。基礎的な戦い方しか教えていないあかねさんがアレだもの」
きっと、すごく強い。
そう伝えると天道早雲は苦笑いを浮かべた。
「無差別格闘天道流、見たいなあ…」
「……ああ、その顔つき!思い出したよ、何処かで見たことがあると思ったら全国津々浦々の道場に喧嘩を売っていた緋村妙の娘さんだな!」
「それは私の叔母かな」
少なくとも私は緋村じゃない。
「緋村妙は糸色家の当主だよ。糸色の家名を名乗る事を出来るのは正式に名前を襲名した人、私みたいに次期当主候補に名前の挙がった人だけ」
「君も苦労しているんだな」
「うん、甲乙付けがたいかな」
珍しく糸色家の実情を話した気がする。
さっき狙われたからかな?
そう思いながら、純粋な実力差を感じている影響だと理解する。あのパンダもひょっとしたらスゴい実力者だったのかもと期待してしまう。
戦うことになったら、楽しいだ。戦闘狂じゃなくても強い人を見たらワクワクする。けど、私が女の子だから手加減しそうなんだよね。