「切さん、縮んだわね」
「そうだね。肩凝りしないかな」
「くっ」
「なびきに使えばオレの自由に……」
たまに句君は怖いことを言うけど。
普通にジョークで言っているだけで、絶対にそんなことをしないのは分かっている。けど、あんまり女の子がいるところで言っちゃダメだよ?
「……にしても切ちゃんの子供の頃って腕白小僧みたいな雰囲気だな」
「私は女の子だよ?」
「九能君に聞けば分かるじゃない」
「それもそうだな。で、どうなんだ?」
「しほちゃんはガキ大将だった。僕の方が年上なのに引っ張ってくれたし、普通に遊んでいるだけでも楽しかった。だが、今ほど淑やかさは薄く、スカートでも木登りしていた!!」
そう力強く宣言する九能先輩を見つめる。
いや、それよりも気になることはあるかな。
「でも、みんな男の子だと思ってたよね」
私が九能先輩にそう言えば九能先輩は静かに私の事を見上げると「しほちゃん、川遊びの時だ」と答えてくれ。すぐに思い出した。
「そういえばスクール水着だったかな?」
「うむ、アレでみんな気づいた」
要するに「男の子と遊んでいたはずが、ガキ大将は女の子だった」という少女漫画の定番とも言える出来事を私はしていたということになるかな。
しかし、不思議な事もある。
「でも、みんな普通だったよ?」
「抜け駆け禁止の約束を交わしたのだ」
どういうことだろう?と地面に転がって簀巻き状態の九能先輩の目の前に座ろうとしたら、小鎌さんの鎌が九能先輩の顔を遮ってしまった。
「切さん、無防備すぎるわ」
「そうかな?」
小鎌さんに抱き上げられ、ソファに座ると両手を握られて「いい?今の切さんは普段の強さは出せないの。あんな無防備に変態に近付いちゃダメだからね?」と何故か諭すように言われた。
そこまで、悪いことしたかな?と小首を傾げていると視線を感じ、後ろに振り返るとお母さんが立っていた。また珍しいお土産を買ってくれたのかな?
「お帰り、お母さん」
「……どうやら私は母親だった様だな」
ツゥーッと涙を流すお母さんに「お母さんはお母さんだよ?」と言えば「ああ、私の事はママと呼んで欲しい」と変なことを言い始めた。
成る程、お母さんも困っているわけだ。
「お母さんはいつも頑張っているかな。偉いねえ」
よしよしとソファの背もたれに乗ってお母さんの頭を優しく撫でてあげ、ゆっくりと抱き締めると「私は赤ちゃんだった?」とまた変なことを言い始めた。
お母さん、長旅で疲れちゃったのかな?