「……戻った?」
「戻ったのね」
小鎌さんと句君の少し安堵した表情に苦笑を浮かべつつ、お母さんを見るとものすごーくショックを受けている。こどものままだとダメなことが多いからね。
本を自由に買えないし、出歩けないのも困る。
九能先輩に会えないのもイヤだからね。そんなことをお母さんに言ったらすごく怒りそうだけど。いや、怒らずにショックを受けるかな?
今みたいに。
「まだ、色々としたかったのに」
「何する気だったの?」
「なにって、着せ替えでしょう」
成る程と納得する傍ら。
私はお母さんが持っている異国風の衣装に少しだけ困惑してしまう。だって、明らかにサイズが合っていないから困るヤツだと思う。
「着るの?」
「いえ、ひもが弾けるわ」
そう言うとお母さんは残念そうに衣装を仕舞って、最初に渡すはずだったお土産をくれた。全身像のモアイ。サイズは普通の花瓶程度の大きさ。
玄関の靴棚に置いておこうかな。そんなことを考えながら玄関までお母さんの見送りに向かい、ヒラヒラと手を振ってお母さんを送り出す。
「また来るわね」「また来てね」
ガチャンとドアが閉まる音が響く。
「小鎌さん、句君、ありがとう」
「おう」
「気にしなくて良いわよ」
そう言って私の頭を撫でてくれる二人の優しさに笑い、やっぱり二人とも大事で大切な家族だ。護衛や付き人としてじゃなくて、ふたりは私の事を家族のように大切に思ってくれる。
嬉しかった。
「……ところで、句君も小鎌さんも私がお母さんに捕まっているとき、助けてくれなかったね」
「御母堂には逆らえん」
「あの人は、その、アレだから」
「お母さんが化け物に見えてる?」
ものすごーく困惑しながらもまだ残っている年の数茸を二人に見せると固まった。
「私の護衛だもんねっ♪︎」
「むりむりむりむりっ!?いくら護衛でも元通りの年齢に戻ったバブみMAXの切さんに捕まったら堕ちる!バブちゃんにされる!!」
「なんか聞いた台詞だな。えーっと、なんだっけ?『切ちゃんはオレの母親になってくれるかも知れない女性だ』とか言っとけばいいのか?」
それはそれで興味深いかな。
「姉ちゃん、ここは姉ちゃんだろ」
「男でしょう!?代わりなさい!!」
「いや、同性の方が色々と楽だろ?」
「くっ」
「否定しない辺り、流石だぜ。姉ちゃん」
私としては否定も吝かではないかな。
「それに男手が無くなるのは不味いだろ」
「くっ、くうぅぅっ」
「あはは、真剣に悩みすぎかな。ただの冗談だから心配しなくても問題ないかな?」
問題は、うん、ないかな。