「まだ、戻ってないの?」
「二人とも喧嘩するから……」
学校のプリントを届けるついでに居間の方を見ると、早乙女君と響君は睨みあってオムライスの旗について喧嘩しているのが聴こえてきた。
男の子って、変なところで意地っ張りだね。
「ああーーーっ!!!糸色、戻れたのか!?」
「え?うん、喧嘩しないからね」
「ず、ずりぃ」
「い、糸色さん、キノコはあるか!?」
そう聞かれたから「うん。17cmのキノコならちゃんと二つ用意してきたよ」と言えば歓喜していた二人の手にキノコを渡してあげる。
「あかね!焼いてくれ!」
「あかねさん、おれのも頼む!」
「はいはい」
ようやく元の身体に戻れると歓喜していた二人の手からキノコが消える。いったい、なにが?と塀の上を見上げると八宝斎のお爺ちゃんとコロンのお婆ちゃんが、キノコを握って立っていた。
「でぇへへへ、幻の年の数茸!これを喰えば儂もピチピチの17歳じゃあ!」
「すまぬな。婿殿、良牙、ワシも肩凝りが酷くて敵わんのでのう」
そう言うと二人はキノコを飲み込んだ。
「「ウッ……!」」
ドサリと倒れる二人に溜め息をこぼす。
「はい、これが本物ね」
「え?じゃあ、あれは?」
「句君の作ったキノコ風クサヤだよ。無臭だけど、噛めば内部に凝縮された超激臭のクサヤが弾けるんだよ。ほら、今の内に焼いてもらうかな」
あかねさんにキノコの入ったカバンを渡してクサヤの爆弾を飲み込んだ影響で白目を剥いている二人の事を抱き上げるとき、嗅覚を弄って無臭になる。
「お、おのれ、切ちゃん」
「糸色殿、過激な真似を……」
「年の功もあるよね?」
そう言って私は残念がるお爺ちゃんとお婆ちゃんに「若くなってもいいけど。ふつうに戸籍とかで困るよ?」と言えば動きを止めてくれた。
同姓同名はいるかもだけど。
危ないことに巻き込まれたら、余計に危ないと思うし。みんなに心配を掛けるから、絶対に危ないことはしないって約束してほしいかな。
「流石は切君だ。ワシらに出来ぬ師匠の強行をお止めになるとは」
「お師匠様も切さんには弱いからなあ」
「「あははははは!」」
「笑い事じゃねえよバカ親父共が」
ようやく復活した早乙女君と響君はオーバーオールが、ホットパンツみたいになっていた。ふいっと後ろを向けばお爺ちゃんが「儂でもせんな!わははは!」と高笑いしながら、早乙女君と響君を指差している。
「二人とも早く着替えるかな?」
「良牙、おまえ!」「乱馬、きさま!」
「「とんでもない変態になっているぞ!!」」
どっちもどっちだよ。