「何をするぞよ」
「ムースを取り憑き殺すのは止めてほしいかな」
「わたしは恩返ししているだけぞ。取り憑き、ましてやムースを殺すつもりなど無い。あやつに貰ったこの襟巻き、相当な想いを込めて編んだ物ぞ。それを『お地蔵様も寒いだろう』とわたしに巻いてくれたのだ」
わあーお、ゾワッとした。
「わたしは恩返しを遂げる。もし邪魔立てするのであれば仏罰を与えるところだが、お前は閻魔の鍵を宿す者。此度は許してやろうぞ」
「ごめーん。みんな、私には無理かな」
そう言って猫飯店に戻ると「これはムースが悪いわね」や「ムースの自業自得だな」とか「お地蔵様にモテて良かったあるな」とか「僕の胸で慰めよう、切君」なんていう言葉が一斉に降り注いできた。
「仕方ない。お父さんに頼もう」
お婆ちゃんに電話を借りて、お父さんに連絡すると「ムースとは誰だ?」と聞かれ、お友達だと伝えると「そうか。しかし、神仏の好意を受けるとは難儀な女の子だ」と言い、電話は切れた。
一応、娘溺泉の原水を確保して「どこでもドア」を経由して来てくれるそうだから、5分ぐらい待っていれば大丈夫かな?
「お館様に?」
「姉ちゃん、ラーメン伸びるぞ」
「愚弟はプロテイン掛けるの、やめな」
「小鎌さん、旦那様も連れてきてくれるって」
「かっこいい太郎も来てくれるのね」
嬉しそうに小鎌さんは笑った。
「「「「(かっこいい太郎………)」」」」
「? どうしたのかな?」
「え?あ、ううん、なんでもないぞ」
「お、おう、そうだぜ」
「相変わらずインパクトのかたむぐっ」
「シャンプー、ダメよ」
みんな、なにかあったのかな?と小首を傾げる。
「姉ちゃん、オレは義兄をあだ名で呼びたいぜ」
「あら、良いわね。たとえば?」
「ハンサム太郎とかどうだ?」
「ハイカラで可愛いかな」「イカすじゃない」
こう、蝶・サイコー的な言葉が頭に過る*1。
「わかんねえ……」
「乱馬、無理に考える必要ないわ。切さんと小鎌さんはとても素敵なセンスの持ち主だっていうことは分かっていたじゃない」
「そうある。私は何も聞いてないね」
「子供の名前は僕が名付けよう」
むう、みんな何で溜め息を吐くのかな。
「九能先輩、私も一緒に考えたいよ」
「よし、一緒に考えよう。今から」
「い、いまから?」
その言葉に思わず、ドキドキしてしまう。