「ぐふっ。宴会場かここは?」
「かっこいい太郎、来たわね!」
「唱、会いたかった…!」
「私も会いたかったわ」
イチャイチャし始める小鎌さんとかっこいい太郎に負けじと私の事を背後から抱き締める九能先輩の腕を握りつつ、早乙女君は全身を浸ける事の出来る水桶に気付き、ムースの方に視線を向ける。
「娘溺泉の原水だよ。お地蔵様を浸けて、止水桶を使って人間にしようという作戦かな」
「っし、オレがやってやる!」
そう言うと早乙女君はシャンプーに変わったお地蔵様に飛び付き、持ち上げて水桶に落とす。───すると、鮮やかな紫色の髪に水が滴り落ちる。
「何するぞよ。貴様」
「……本当に人間になったわね」
「相変わらず、神秘の塊ね」
ウンウンとみんなが頷く最中、お地蔵様だった女の子は自分の両手を見下ろし、すぐにムースを見ると「うむ、私は人になったぞよ」と抱きついた。
「シャンプー、止めないの?」
「止める必要はないね。好いているなら、それでいいある。今後とも宜しくするよろし」
にっこりと微笑んだシャンプー。
ムースは見分ける事は出来ないけど。
別人だと理解しているし、シャンプーじゃないお地蔵様の熱烈な愛情表現に顔を赤らめている。女傑族に迎えるのかな?と考える。
「お、オラはシャンプーを、いや、これもシャンプー?シャンプーがふたりに?シャンプーが、シャンプーで、これもシャンプー?」
壊れちゃった。
そんなことを私達は思いながら、気を失ってグーグーとイビキを響かせるムースを見下ろす。とりあえず、一先ずは安全で良いのかな?
「で、どうするんだこれ?」
「ムースはシャンプー大好きだもんね」
「やめるね。おぞましい」
「すごい言うかなあ」
────だけど。
神仏の好意を受け止めてしまったということは、とても大変な目に遭うことは分かりきっている。でも、ムースの選んだことだから止められない。
「お婆ちゃん、ムースはもう」
「うーむ、困ったことになる。シャンプーに似とるこやつの名前はどうしたものか」
「あ、そっちなの?」「シャンプー二号だな」
「乱馬、私は
「そういう意味じゃねえよ!?」
「浮気は悪い文明だよ、早乙女君」
私がそう呟くとかっこいい太郎がビクリと身体を震わせた。やっぱり小鎌さんに迷惑を掛けているのかな?と睨むと、必死に頭を横に振っている。
怪しい。
もしも本当に浮気しているのなら、私も句君も全身全霊の殺意を込めて、かっこいい太郎のことを死ぬまで追い詰めるつもりだけど。