ムースはシャンプー(お地蔵様)を手に入れたものの、本物も大好きなのでアプローチは続いている。日本の神仏は、そこそこシットリとしているらしい。
「…………お義姉様、昨日もうるさかったですわ」
「あはは、ごめんね?」
「一人暮らしを検討したいぐらいですわ」
「それはダメだぞ、妹よ」
「お兄様のせいです!!!帰ってきたらお義姉様を抱いているし!声はうるさいし!メイドや執事も反応に困っていますわよ!!!」
「う、うむ、すまん」
珍しく本気で怒っている小太刀さんの言葉に九能先輩は申し訳なさそうに視線を逸らし、私も他の人に声が聴こえていたという羞恥心に顔が熱くなる。
「お義姉様も嫌なら断りなさい。私、通販の品にあれやこれやとカタログまで見せられて、ものすごく困りましたのよ!」
「待って、それは私も知らないかな?」
私と小太刀さんは九能先輩を見遣ると朝御飯を食べる手を止めて、フッと静かに笑ったかと思えば「男児には必要なものが多いのだ」と言われた。
「保管場所は畳の裏の床下収納ですわ。お義姉様、あとで調べますわ」
「う、うん、私も頑張るかな!」
「止めんかおのれら」
そう言って私と小太刀さんが動こうとしたら立ち上がり、隠している場所は正解だと分かった。ただ、やっぱり中身を見るのはダメな気もする。
九能先輩がいやがるのに見るのはダメだから、説得して一緒に見て良いのかを聞こう。
「で、本気か?」
「ジョークに決まっていますわ。あんなものをお義姉様に見せたら自分も頑張って受け入れなくちゃ!と迷信しておバカになりますもの」
そんなことを言われて言い返そうと思ったものの。自分の考えは分かっているので否定出来なかった。私は、少し弱くなったのかな?
「ムッ。むぅ……」
困ったように唸る九能先輩の頭を優しく撫でてあげ、あまり無理しないように伝えて、チラリと小太刀さんを見ると「お兄様は甘えん坊ですわね」と紅茶を飲み、ゆっくりと溜め息をこぼす。
「切君は嫌いか?」
「ううん、大好きかな」
「お兄様だけで行きなさい。お義姉様、今日は私と一緒に遊びましょう?」
にっこりと笑う小太刀さんに頷く。
難しく考えなくても家族だから聞きたいときに聞けば問題ないかな。それに、みんなで楽しく過ごせるのは本当に嬉しいからね。
ちゃんとみんなで過ごしたいんだよ。
私は、大好きな人に囲まれていたい。
ヘビは欲深くて欲張りだから、ほしいものに妥協しない。だから、みんなで仲良く楽しく過ごして、幸せになりたいかな。