冬休みになりました 序
「なぁーんで終業式なんてあんだろうな」
「さっきからそればっかりね」
校長先生の安心安全の生活を心掛けるようにという言葉に続き、赤点を多く取った生徒は冬休みも冬期講習という名目上、学校に登校するようだ。
「尚、付き添いは自由デ~ス♪︎」
そう言ってみんなにウィンクを贈る校長先生の眼差しにゾワゾワする同級生や上級生、下級生のみんなに小首を傾げてしまう。
普通に良いことを言ったと思うかな。
それにしても付き添えるというのは利点だ。あかねさんと早乙女君の距離はグッと縮まるはず!と期待を込める。早乙女君はテストは解けている。
きっと、大丈夫なはずだよ。
「昇降口の学校掲示板に冬期講習の出席者を記載しているから、みんな自分の名前があるかないかを把握するように、早乙女君は来るようにねー」
「先生!名指しはやめてくれ!」
「早乙女君は出席日数も危ないからねー」
「ぐっ、あれか?それともあっちか?」
ウンウンと唸る早乙女君の肩を句君、ひろし君、大介君の三人に慰めて貰いながら、体育館を出ると肌寒い風に吹かれ、クチュンとくしゃみをした瞬間、下級生の方で「先輩のくしゃみ助かる」という声が聴こえてきた。
「くしゃみって助かるの?」
「え?さ、さあ…?」「姉ちゃんに聞くか?」
「糸色さんは綺麗だから一年に人気だよな。たまにカメラで取られてるけど、よく許してるよな」
「あー、たまに見るな。五寸釘もよく話してるし」
「呼びましたか?」
「「「うおうっ!?」」」
「あ、五寸釘君、怪我は治ったの?」
久しぶりに会った五寸釘君に話しかけると「糸色さん、うん、早乙女君にボコボコにされた怪我は治ったよ」と教えてくれ。おでこの包帯や頬のガーゼをそっと撫でて心配になる。
早乙女君、手加減しなかったの?
「男と男の勝負だ。手加減できるかよ、な?」
「勿論だよ、今も藁人形で怨みを晴らしているさ」
「最近の腰痛はおめえかよッ」
格闘家にとって腰は攻撃の要だから呪法を使って遠隔攻撃出来るなら最適の攻撃場所とも言える。力もスピードも乗っていない攻撃は怖くないからね。
「ああ、それと糸色さんにお礼が言いたかったんだ。ありがとう、サージェスで曰く付きの品々を自由に閲覧できるなんて夢のようなひとときだったよ」
「サージェスって、あのサージェスかよ!」
「五寸釘、ずりぃぜ」
「博物館は前に行ったな?」「うん、糸色さんの知り合いだって話したら奥に連れていかれそうになったから焦ったよね」
「ああ、ありゃあ裏で何かしてるぜ。そうだろ?」
早乙女君がそう言うと教室に戻ってきたクラスメート達の視線が私に集まり、誤魔化すのは流石に無理かなあ?と句君を見てしまう。
「ここだけの秘密だけど。サージェスは危険性の高いオーパーツやオーバーテクノロジーを秘めた財宝を回収して管理しているんだよ」
「ちなみに糸色景の発明品もオーバーテクノロジーだ」
それは、今関係ないんじゃないの?
まあ、千年アイテムは気になるけど。