九能先輩とデートしていたら、視線を感じて後ろに振り返ると女の子が電柱の影に隠れ、こそこそと私達の事を見つめて観察しているのが見えた。
一体、誰だろう?
「ウチの1年生だろう。切君は美人だから観察して自分の研鑽に役立てようとしているのか。はたまた、僕に用があるか、切君に用があるかだ」
「成る程、それなら三択かな」
「僕も三択だと思っているんだが」
槍を引き伸ばして、逃げようとする女の子の襟首に槍の石突きを引っ掛け、私達の目の前に降ろす。私と同じぐらいの身長かな?
「私達にお話しあるのかな?」
「は、はひっ、くしゃみ助かりました!」
「「ん?」」
「スパチャ代です、どうぞ!!!」
「すぱ?」「ちゃ?」
謎の単語と共に差し出される5万円に困惑しながら、お金を受け取る事は出来ないと告げると「そ、そんな私は推しに貢ぐことも出来ないというの!?」とものすごーくショックを受けている。
「おしって、なにかな?」「知らん」
九能先輩も困惑して戸惑い、私の事を庇うように立つと「もぎゃあぁぁっ!!推しCPのイチャイチャが私の目の前で起きてるぅ!!」と楽しそうに騒ぎ始める。
こういうときって、どうしたら良いのかな?
そんなことを思ってもお父さんとお母さんに救いを求めるも何も帰ってこず、私と九能先輩の傍に仕える忍び達が現れ、彼女の事を連れて行ってしまった。
「何だったんだ?」
「えと、あはは」
九能先輩の呟きに私は困ったように笑う。
「デートの続き、しよ?」
「ムッ。そう、だな」
そう言って私は九能先輩と手を繋ぎ、ちょっと恥ずかしくて嬉しいと思っていると、また後ろの方で発狂したような叫び声が聴こえてきた。
ものすごーく面白い子なのかな?
「切君は変なのに好かれるな」
「むう、それはひどいと思うかな。……ね、おししーぴーって、何なのかな?」
「おしは分からない。が、CPは何かの略称だな」
あとは「すぱちゃ」?というものもだね。
いったい、何なんだろうね。
魔女先輩なら分かるのかな?なんて考えていると、魔女先輩と乙津さんが一緒に歩いているのが見え、直ぐに瞬間移動して消えてしまった。
やっぱり、二人はファンタジーかな。
「? 九能先輩、どうしたの?」
「いや、視線をまた感じるのだが」
キョロキョロとする九能先輩の手を握った瞬間、後ろの方で興奮するような息遣いが聴こえ、振り向くと忍び達を振りきったであろう彼女がいた。
「せめて、写真だけでも!」
「九能先輩」「うむ」
彼女の事を挟んでカメラのシャッターを切る。
これで、いいのかな?