冬休み。
宿題は早々に終わらせて、読書を楽しみつつ、マスターに淹れて貰った珈琲を味わう。九能先輩とデートしたりお出掛けするのは大好きだけど。
こうして一人だけの時間も大好きかな。
「ウフフ、夏休みぶりかしら?」
「切ちゃんじゃん♪︎久しぶり♪︎」
「こんにちは、魔女先輩、乙津さん」
「「はい。こんにちは」」
にこやかに笑って挨拶を返してくれた二人は私の目の前、真向かいの席に腰掛け、二人揃って謎の道具を差し出してきた。
どこかで見た覚えはあるような?と小首を傾げながら道具を受け取った瞬間、バチンと私の右手と左手は球体に包まれた。
「重っ!?」
「ウ~ン、ちょっと違うかもね♪︎」
「そうね。違うわね」
そう言うと二人は道具を外してくれたものの、いきなり変な事をしてきた二人の事を少しだけ睨み、すぐに気を取り直して本を開く。
「ウフフ、連れないわね。さっきのは貴女に贈るプレゼントの一つだったんだけだ。九能君以外はあまり喜ばない代物かも知れないわねえ」
「まあ、いきなりだったもんね♪︎」
にっこりと微笑んでいる乙津さんはマスターに珈琲を二つ頼み、魔女先輩はプレーンシュガーラスクを頼み、私は本に栞を挟み、二人を見つめる。
「で、用件は何かな?」
「面白いヤツが冬休み中に来るわ」
「友引町も面倒事に巻き込まれるから、助けに行けそうにないから伝えに来たんだよ。それに、八束ちゃんも行くところがあるからね♪︎」
「壬生先生も世界チャンピオンとの試合に向けて減量中、みんな大事な時期に掛かってきたわ。なにより面白いヤツに会えるのは今年だけよ」
「……含みがあるかな」
私は二人の事を見つめていたその時、視線を感じて窓の外を見ると九能先輩がものすごーく怒った顔で喫茶店の席に座っている私達の事を見ていた。
「おのれ、魔女めが。僕の妻を誑かして何をするつもりだったのだ!!」
「ウフフ、なにもしないわよ。あと束縛する男は嫌われると思うんだけど?」
「緊縛だと?既にしておるわ!!」
「「「………………」」」
みんなが私の事を見つめて来た。
ポッと頬を赤らめて顔を逸らすと、乙津さんと魔女先輩は呆れたように笑って、私の頭をワシャワシャと乱暴に撫でてきて、ちょっとだけビックリする。
けれど。
悪い気分ではないかな?と思う。ただ、あまり派手に動けず、ふたりのワシャワシャと頭を撫でる手を止められず、私はひたすら撫でられている。
「ん、ん、ん」
「かわいいわね」
「かわいいねえ♪︎」
よしよしと撫でる速さが増す。
「百合CPもありぃぃ……!」
「お嬢ちゃん、勝手にカウンターに入るな?」
ん、ここにも来てるの?