たこ焼き職人の隼人君に右京さんは狙われていることは分かりましたけど。早乙女君や句君だけに攻撃をしていた理由は分かりませんね。
「小鎌さん、分かるかな?」
「分かるかなって、そのはやとくん?っていうのは久遠寺が女の子だって知ってたの?」
「姉ちゃん、流石に分かるだろ。乱馬は気づいてなかったみたいだが、他の奴らも右京がちゃんと気づいていただろう?」
「だからよ。その子、子供の頃の喧嘩で負けたんでしょう?おまけに女を封印していたとき、絶対に性別を勘違いしたままだったわよ」
そう言われて私と句君は顔を見合わせる。
いくら子供の頃に喧嘩したからって、ずっと性別を勘違いしたまま過ごすなんてあり得るのかな?と想像し、能天気に笑う早乙女君の顔が浮かんだ。
まあ、早乙女君ならあり得るかな。
「乱馬は忘れてたな」
「あれはダメだったわね。けど、そのはやとくんが性別を勘違いしたまま成長し、いざ再戦をしようと向かった先に関西弁の似合う可愛い美少女がいたら?」
「どうなるの?」「どうなるんだ?」
「歪むに決まっているでしょうが」
ゆがむ?と小首を傾げながら呟く。
どういう意味だろう?と考える私と句君に「これだから初恋成功者は困るのよ」とこめかみを押さえる小鎌さんの小言に少しだけムッとしてしまう。
「初恋じゃないよ、二回目だよ」
「どっちも九能君でしょうが」
「そうだよ」
「ちなみに姉ちゃんの初恋は遠さんだぜ」
「そこっ、うるさいわよ!」
遠君は優しいもんね。
好きになるのは仕方ないし、幼馴染みだもんね。
「アイツには好きな子がいるし。私も好きな人がいるから初恋なんかじゃないわよ。どっちかと言えば姉としてアイツを引っ張っていただけだし」
フンと顔を逸らす小鎌さんの態度は面倒臭いと全身でオーラを発していて話し掛けるなと言わんばかり。けど、いつもの切れ味はない。
「話しは戻すが。姉ちゃん、たこ焼き野郎の行動は性別勘違いの錯乱でいいのか?」
「十中八九、そうでしょうね」
「無自覚な恋だったりするのかな?」
「え?いや、どうかしら」
もしも、そうだったら私達は無理に止めるために介入するのはダメだと思う。なにより相手を好きになるのは自由だ。でも、浮気は悪い文明だから許さない。
それに私も無自覚だったみたいだから、どこが悪いのかも「人の振り見て我が振り直せ」を実践して、治せるなら治しておきたいかな。
そういうことをしたら嫌がられるかもしれないから、あまりしたくないんだけどね。