「なんで、俺の店に集まるんだよ」
「マスター、優しいから」
「オッサン同士、仲良くしようぜ」
「えへへ、切ちゃん先輩と同席してます」
私の隣で嬉しそうにくねくねと身体を動かして笑う久我銀子に視線を向けつつ、マスターが「珈琲でいいな?」と言いながら新しく珈琲を淹れてくれる。
やっぱり、優しいかな。
「それじゃあ、詳しく教えて貰えるかな。一体、『特異点』っていうのは何なのかな?」
「……えと、私はお父さんが『特異点』だったっていう事しか知らないんですけど。強かったり天才だったり、異能を持っている人達の事を『特異点』と総称するというのは聞いています」
そうなの?と猩々を見遣る。
コクリと頷いて久我銀子の言葉を肯定し、彼女もホッと安堵したように吐息をこぼす。ただ、そうなると私も『特異点』ということになるのかな?
「猩々、私と久我さんは『特異点』になるの?」
「どっちかと言えばお前らは『異能者』だ。彼処のオッサンと俺は
「糸色家の『特異点』は糸色景だけだ」
私達の会話を聞いていたマスターの言葉も加わり、成る程と私は納得する。
「切ちゃん先輩とお揃い?ふへへ」
「ってか。お前、なんでスパチャとか知ってんだ」
「あ、それはお父さんに習った言葉です!大好きな人の事は推し!その人のために頑張るのは推し活!スパチャは貢ぎ物!!もっと応援します!愛します!貴女にずっとフォーリンラブです!」
「フフ、ありがとう♪︎」
「ぎょべびゃばあおぉ!!」
「……コイツの父親、何教えてんだ?」
さあ?と私は茹で上がったタコのように見える久我銀子の頭を優しく撫でてあげる。この子、意外と可愛いですね。アレかな?
ソーキュートってやつだ。
「珈琲、砂糖は?」
「要らないかな」「俺も要らん」
「あ、すみません。角砂糖二十個とシロップ三つ、ミルクも混ぜて貰えますか?」
「甘すぎだ。こっちのカフェオレ飲んどけ」
珈琲は何もないほうが美味しいのに、なんでだろうね?と不思議に思いながら久我銀子の事を見つめていると背後に筋肉粒々なヒト型の守護霊が出現する。
「やっぱり、お前は幽波紋だろ」
「そのスタンドって何なのかな?」
「守護霊のパワーアップしたやつだ。予知や火炎、魂の入れ替えなんていう能力もあるな」
「私のお父さんにそんな力が!?」
「ムッ。私のお父さんも強いかな」
そう言って私は張り合ったとき、チラリと久我銀子の右目の奥に何かが見えた気がした。
【概要用語解説】
本作の単語や転生者、その親族を解説します。
【
【挿絵表示】
本名「久我銀子」。
年齢は15歳。身長は159cm。
彼女自身は「浪漫の
いわゆるナマモノCPを愛するタイプの愛好家。糸色切と九能帯刀のやり取りを中学生時代に目撃し、以降はこっそりと隠匿して隠密的に二人のデートを追跡したり尾行したりしていた。
好物はペペロンチーノ。
・守護霊
転生者「久我銅雪」本人。
妻子の今後を見守るために閻魔大王に直談判し、数千年の無給労働の契約を結び、家族の幸福を見届けるために
【概要用語解説】
本作の単語や転生者、その親族を解説します。
【
本名「久我銅雪」
年齢は39歳(故人)。身長は180cm。
「浪漫の商人」の物語に生誕した転生者。他の転生者のように「バトル展開」や「コメディー展開」に巻き込まれず、ごくごく平凡な生活を送る第二の人生を謳歌し、二児の父親と成る。
前世は読書家であり、今世に伝わる「漫画」の数々に感涙して糸色景の大ファンと化す。そのため糸色家の人間に対する尊敬度は国民的アイドル並み。その熱量は愛娘の「銀子」にも受け継がれている。
実は楯敷ツカサ率いる「ノバショッカー」に対して経済的支援を送り、軍資金の提供や兵器開発の一端を担う。表向きはサージェス財団の幹部として活動し、向こう側では財団Xの幹部として活動していた。
転生する際に選んだ「特典」は「家族を絶対に幸せにする力」と「何らかの才能が欲しい」
一つ目の特典「家族を絶対に幸せにする力」は経済力や金運、恋愛運、様々な運勢の流れを味方に付けるというものだが、年に数回ほど帳尻あわせの大不幸に見舞われる危険性を持っている。
二つ目の特典「何らかの才能が欲しい」は自分自身の守護霊化(普通に
・ゴッドアイ
生きた者の望みを叶える秘宝。*1
生前の久我銅雪がサージェス財団の調査員として活動中、偶然にも見つけ、現在はサージェス財団にも所在を隠して保管している。