「九能先輩、お待たせしました」
カランコロンと雪駄を鳴らし、振り袖を揺らして鳥居の前に立つ九能先輩に駆け寄ると、グッと何かを堪えるように私の事を見下ろす九能先輩と目が合う。
何かあったのかな?と小首を傾げつつ、神社のお手伝いをしている早乙女君達に案内され、御神籤を引いたり、甘酒を飲んだりとして元旦を迎える今年最後の日をゆっくりと過ごす。
「切君、はぐれないように手を繋ごう」
「…じゃあ、お願いしようかな」
九能先輩の差し出す右手を左手で握り返し、一緒に歩いているとお団子屋さんの看板を持つパンダ状態の早乙女玄馬と、絵馬の板を削って作る天道早雲の二人を目撃し、甘酒を売っている屋台の上に座った、のんびりとお団子を食べて甘酒を飲むお爺ちゃんを見つける。
今日は悪いことしないんだね。
「あ、切ちゃん、来たんやね」
「切さん、おはよう」
「おはよう。今日は、これ買いに来たんだ」
竹箒を持つ右京さんとあかねさんに、さっき御神籤を引くときに一緒に買ったお守りを見せる。
「「あ、安産祈願!?」」
「ま、まだだよ?でも、ね?」
「そ、そうよね」「そやね」
私はポッと頬を染めて、微笑みを浮かべる。
ちょっと時期は早いかもだけど。
ちょうど年号の変わるときぐらいに、なんていう予定だったりするかな。と、話していると早乙女君が「おめえ、手ぇ出すの早すぎるだろ」と九能先輩に言っている声が聴こえてきた。
あかねさんと右京さんにも聴こえていたのか。少し顔を赤く染めて、チラチラと九能先輩と早乙女君の二人の事を見て、会話に聞き耳を立てている。
「大丈夫なの?」
「んー、大丈夫かな。小鎌さんの殺気は感じたけど」
「それはもうだめやないの?」
「フフ、大丈夫だよ。ちゃんと勉強して、九能先輩もみんなも幸せにしてあげるって決めてるから。まあ、どこかに行くときは酔い止めを使わずに出来るだけ安全に過ごしたいとは思うけど」
そんなことを二人に話しながら「友人スピーチのときはお願いできるかな?」と、あかねさんにお願いすると「任せて。しっかりと応援する!」と言ってくれた。
「ウチも特製お好み焼き作ったるで!」
「うん。ありがとう」
「だから、お好み焼きを食べているとき、酸っぱいのが美味しかったんだ」
あかねさんの呟きに私達は「確かに」と納得し、クスクスと三人で一緒に笑ってしまう。本当に幸せなことばかりで嬉しくなっちゃうかな。
「早乙女乱馬、外国には重婚可能な国もあるそうだ。もういっそのことソッチで結婚すればどうだ?」
「ばっ、ばーろー、何言ってんだ!?」
そうだよ、浮気は悪い文明だよ?