「クリスマスと初詣、順番逆では?」
「アレは絵馬に願掛けに向かっただけだろ。ところでよ、さっきから句に貼りついてやがるアレはなんだ?」
「糸色家の仕来たりでね。17歳を迎えた男の子は一目見た女の子と許嫁か婚約者になるんだよ。句君の誕生日、12月25日の今日だから仕方ないかな」
「ちなみに誕生日とクリスマスのプレゼントを一つに纏めると物凄く悲しみに暮れるタイプだからあげるなら注意してあげることを勧めるわ」
小鎌さんの解説も合わさって句君に突撃する本条家の経済的地位を狙う女の子達を、天道先輩は少しばかり不満そうに見つめているかな。
可愛いところが見つかるかな。
早乙女君は「変な仕来たりなくて良かったぜ」と安堵しているけど。私、重婚の話を聞いてからたまに旅行雑誌読んでるの知っているからね?
まあ、あかねさん次第なんだろうけど。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないかな。あかねさん、チキンはどう?」
「焼けてるわよ。北京ダック作るのは初めてだけど」
「早乙女君、味見を……あれ?」
いつの間にか消えてしまった。
家の中で迷子の響君を捕まえて、あかねさんの作った北京ダックを味見してもらおうとしたら、早乙女君が割り込んでパクリと食べてしまった。
「嫉妬するぐらいなら逃げなきゃいいかな」
「乱馬、良牙君に嫉妬したの?」
ワクワクするあかねさん。
嫉妬と怒りを露にする響君。
そして、逃げる早乙女君。
いつもと変わらないかな。
「おー♪︎切ちゃんは何を作っとるんじゃ?」
「お爺ちゃん、味見する?」
「なんじゃこれ?」
「ミートパイ、出来立てだから熱いよ」
「むっ!牛肉の甘味が善き……」
「フフ、それなら良かったかな」
モグモグとミートパイを食べて嬉しそうにしながら台所を出ていくお爺ちゃんを見送り、パンダ姿の早乙女玄馬に張り付いている二ノ宮先生を見つけた。
先生、頻繁に来ているのかな?
そんなことを考えながら、手伝いに来てくれたかすみさんにお礼を言いつつ、あかねさんの見ていた北京ダックはアルミホイルで保温状態になり、ローストチキンの準備を始めてくれる。
かすみさん、手捌きが早い…!
センチピート拳のように素早く料理の下処理を進めるかすみさんにビックリしながらも、彼女に追随するように料理の下処理を続ける。
くっ、料理の達人とは思っていたけど。
まさか、ここまで強さが隔絶していたなんて。そうショックを受けそうになりながらも、私は出来上がった料理をテーブルの上に置いていく。