恙無くクリスマスは進んでいる。
最近は戦いなんて無くて本当に穏やかな日々だと思いながら、九能先輩の隣に座って、のんびりと騒がしくお肉の取り合いを続ける早乙女君と響君とムースの三人の事を見つめる。
やっぱり、仲良しかな。
そんなことを思っているけど。私は口には出さない。だって照れ隠しに喧嘩を始めたら、折角の料理までぐちゃぐちゃになりそうだからね。
あかねさんの料理、酸っぱくて好き♪︎
「切ちゃん、パン切るわよ」
「小鎌さん、ありがとう」
「良いわよ。あと数ヵ月で私は本職の方に戻るし、学校内の付き人は句君だけになるけど。大丈夫?」
「大丈夫かな。それと、小鎌さんは何処で誰かを守っていても私の大事な家族だから気にしないで、自分のすきなようにしていいんだよ?」
「えぇ、そうさせて貰うわね」
私達の会話を聞いていた句君は「オレが姉ちゃんの分まで頑張るから大丈夫だ」と言ったものの、小鎌さんは少し小さく溜め息を吐く。
「一番の懸念はアンタなのよ、愚弟」
「なに?賢弟?」
「おバカ」
こめかみを押さえて、溜め息をこぼす小鎌さんだけど。口許は嬉しそうに緩んでいるのを私は気付いている。やっぱり、姉弟は仲良しさんだね。
「切君、これはなんだ?ミートパイかな」
みんな、食べたことないのかな?と小首を傾げながら、九能先輩の口許についたソースをティッシュで拭き取ってあげる。
「あーん」
「ん、自分で食べれるよ?」
「まあ、そう言わずに」
「……あむっ」
やっぱり、美味しい。
でも、もうちょっとだけ気になるのは味付けを甘くしちゃったということ。もっと辛くても良かったかな?なんてことを思いながら、ミートパイを食べる。
「ムッ。何をしているのだ?」
「ワシが食うから、お主らはこれを食え」
お好み焼きのようにも見えるし、パイのようにも、ホットケーキのようにも見える生地に突き刺さった魚の姿に、私達は困惑してしまった。
スターゲイジーパイ。
イギリスの料理なんだろうけど。
お爺ちゃんの手作りなのか。
ところどころが生焼けに見えるけど、大丈夫なのかな?と恐る恐る手を伸ばしたら「切ちゃんは食べちゃダメでしょう」と、天道先輩は止められた。
「句君、あーん」「食う」
暫しの沈黙。
ものすごーくタフな句君は白目を剥いて、道場の床に倒れた。そんなに美味しくなかったんだも考えながら、ゆっくりと句君の口許にスターゲイジーパイを差し出す天道先輩を止めるべきなのかな?
でも、お箸を持ってるときは危ないかな。