「新年早々。何やってるのかしらね」
「あはは、仕方ないかな」
お餅を突く早乙女君と早乙女玄馬の事を眺めていたとき、羽子板の羽に墨を仕込んでいたお爺ちゃんの攻撃を受け、私達は銭湯に来ている。
「……切さん、また大きくなった?」
「そうかな?」
「九能ちゃんの努力ね」
なんで、そこで九能先輩が?と小首を傾げながら湯船に浸かっていると男湯の方で騒々しく叫ぶ声を聞き、深々と溜め息をこぼすあかねさんを見遣る。
「どうかしたの?」
「どうせ、覗くつもりなんでしょう」
「九能先輩と句君もいるし。大丈夫だよ」
「愚弟は抵抗するわよ、なびきがいるもの」
「モテる女は辛いわね」
そう言うと天道先輩は湯船の縁に身体を預け、お湯の上を泳ぐアヒルを眺めている。アヒル、記念に1個だけ持って帰っても良いらしい。
家の湯船に浮かせてみようかな。
「三匹もいるかしら?」
「あたしはアヒル可愛くて好きよ?」
「かわいいよね、アヒル」
あかねさんの言葉に頷き、笑う。
「「ねー♪︎」」
一緒に笑っていると、天道先輩と小鎌さんもクスリと笑ってくれる。たまにはこうして、女の子だけで過ごすのも良いかも知れないかな。
まあ、ちょっとだけ寂しいけど。
「しかし、本当に大きいわよね」
「えぇ、そうね」
「同じものを食べてるのに、なぜ?」
「み、みんな?目が怖いよ?」
すすっと胸を隠してあかねさんと小鎌さんと天道先輩を見返すも「大丈夫よ、うん」とか「やっぱり遺伝かしら?」とか「撮ったら売れるわね」という言葉が次々と私のほうに投げ掛けられる。
「も、もうあがるね」
「まあまあ」
「この際だから教えなさい」
「ひぃんっ…!」
三人とも何だか手付きが破廉恥で怖いよ?と言っても聞いてもらえず、困っていると男湯と女湯の仕切りに手が見え、そっちを指差した瞬間、早乙女君の顔に向かって桶が一斉に叩き込まれた。
さすがに、覗くのはダメかな……。
「せめて、あかねだけにしなさい」
「お姉ちゃん!?」
「そうね。私と切さんの裸を見ていい人は一人だけだからそういうことは許されないわね」
それは、そうだけど。
やり過ぎじゃないかな?
「句ー、早乙女君死んでないわよね?」
「姉ちゃん、乱馬なら気絶してるぞ!あとついでにシャンプー忘れたから貸してくれ」
「番頭で買いなさいよ、おバカ」
そう言いながらもシャンプーを放り投げる小鎌さんは優しくて素敵なお姉さんだと思う。そんなことを思いつつ、そそくさと脱衣所に逃げて、あかねさんに借りた服に素早く着替える。
「ドライヤー、どこだろ?」