「下着が、ない!?」
「貸してくれた、これ?」
「ううん、それじ……ギチギチに詰まってる」
あかねさんの呟きに他のお客さんまで、私の胸を見てきたのでソッとシャツを戻す。私より大きな人なんて、いっぱい居ると思うかな。
「多分、お爺ちゃんかな」
「あの変態ジジイ…!」
「向こうは着替えてるだろうし」
どうしようかと話していると顔を真っ赤にした早乙女君が番頭のお婆さんを介して、あかねさんの下着を返してくれた。背が高いと見えちゃうもんね。
そう思っていたとき、向こうで喧嘩する声がきこえた。九能先輩と句君の声と、早乙女君の悲鳴が聴こえて、なんだかクスリと笑ってしまった。
「やっぱり仲良しだね」
「そうかしら」
着替え終えた天道先輩が、ちゃっかりコーヒー牛乳を句君に買って貰っているのを知りつつ、口止め料として渡された牛乳を私も飲む。
美味しいけど、冷たすぎる?
いや、風情を感じるなら良いのかな?
どう、なんだろう?
「牛乳で成長してるのかしら?」
「カルシウムの話しかな?」
「あり得るわね」「成る程」
私の事を見ていた他のお客さんもなんでか牛乳を頼み、ゴクゴクと飲み始める。いっぱい飲むのは良いけど、身体が冷えちゃうかな。
そんなことを考えながらあかねさんも牛乳を飲んでいる姿を眺めつつ、みんなは牛乳が好きなのかな?と天道先輩に聞けば、にっこりと笑って「ムチムチになりたいのよ」と教えてくれた。
そうなんだ。
大変なんだね。
「逆恨みされるわよ、その言い方だと」
「そうかな?」
「切ちゃんは抜けてるわねえ」
「? なにも抜けてないよ?」
そう言うと天道先輩は苦笑を浮かべ、私は脱衣所の隅で此方を見つめる久我銀子を見つけ、ヒラヒラと手を振った瞬間、鼻血を流された。
私、そんなに怖かったのかな……。
「何だったのかしら、あの子」
「久我銀子さん、ウチの1年生で私と九能先輩をおしかつ?するとかすぱちゃ?とか言うお金を渡して、拝んでくる後輩さんだよ」
「要するに予備の通帳ね」
「私は人生三回は過ごせる貯金あるかな」
ほとんどお年玉だけど。
お祖父様やおばあ様もみんなお金は大事だって教えてくれるのに、なんでお年玉はあんなにいっぱいなんだろうと不思議に思うかな。
「……ちょっと私に賭けてみない?」
「?」
どこかワクワクとした表情の天道先輩に小首を傾げながら彼女の燃える瞳を見つめてしまう。いったい、なにをするつもりなのかな。
けど。私も天道先輩のやろうとしていることが気になるから手助けしてしまった。