「待ってかわい子ちゃーん!」
「ちょっとイヤやわあ」
「ムースの上位互換ね」
諸星君の突撃を避けつつ、私は電柱の上に飛ぶと「ちきしょー!やっぱり、ラムんとこのヤツかよ!」と言われたけど。
私は長野県出身かな。
そう思いながら飛んできた節分の豆を避け、当たりそうな豆を受け止めて食べる。しっかりと煎って、乾燥させている美味しいお豆だと感心し、此方に飛んできたラムさんに微笑みを向ける。
「キリ!うちと一緒に飛ぶっちゃ!」
「フフ、楽しそうだから良いかな」
ニコニコと笑って飛ぶラムさんの隣を空気の層を蹴るように跳ね、滑空し、飛翔する。擬似的な拳になるけど、幻獣ケツァコアトル拳*1ってところかな?
なんて考えながら、空を舞う。
「うちと同じ年の同星、仲良しっちゃ!」
「そうだね。今は、逃げてて仲良し!」
飛んできた豆の集中砲火を引き伸ばした槍を回転させ、すべて弾き返す。食べ物だからね、そう簡単に砕いたり捨てたりするのは良くない。
「切ちゃん、ウチを持ち上げて!」
大きなヘラを盾に使っていた右京さんの合図に従って、跳び跳ねた彼女の手を握り、空に振り上げるように持ち上げると「ひえぇ……ごっつう高いな」と呟き、可愛らしく内股になっている。
「ラム!オレも乗せてくれ!」
「しょうがないっちゃ。うちに掴まるけ」
そう言うとラムさんは男装している彼女の事を抱き上げ、空の上に舞い上がる。ちょっとだけビックリしたかな。そうなこと考えつつ、電柱に降りる。
少なくともここなら此処は無事だな。
「面堂終太郎、参る!」
「オレのあかねに手出ししてんじゃねえ!!」
早乙女君のパンチが日本刀を砕き、トラ柄の水着を身につけたあかねさんを抱き上げて逃げる。
「成る程、そういうのもありなんだね」
「ダーリン、うちを守るだっちゃあ~~!」
「のわああぁっ!!いきなり飛び降りるのはやめんか!心臓が1個じゃ足りんじゃろうがい!!」
そんなことを叫びながらも落ちてきたラムさんをしっかりと受け止める諸星君の姿はさっきのエッチでスケベな感じじゃなくていいと思うかな。
ドタバタと走り去っていく二人を眺める。
「……え?私、二人も担ぐの?」
「頼むで、切ちゃん!」「すまんな、でかいの」
私に抱き付く二人になんとも言えない気持ちになりながら飛んできた豆を避け、飛ぶも重くて高く飛べず、屋根を蹴って更に高く跳び跳ねる。
これは、逃げるが勝ちってヤツかな!?
それから五時間後。
私と右京さんは面堂終太郎の投げた豆に当たってしまい、風林町の被弾者は二人。友引町の方はムースの投げた豆にラムさんだけが被弾したものの。
結果は、向こうの勝利に終わった。