私の社会見学という名目で本条家のご姉弟の二人と生活することが決まり、実はどうしようもなく実家を離れて生活することにワクワクしている。
「お迎えに来ました。
「姉ちゃんより小せえな」
「アンタがデカすぎるのよ!!」
私の名前を呼ぶワンピース型の緑色の制服を着た女の子と学生服の男の子を見上げる。この二人と私はこれから三年間一緒に過ごす!
とても楽しみだ。
「初めまして、糸色切です。三年間の共同生活よろしくお願いいたしますね」
「おう」
「おうじゃない、はいでしょう!」
「……フフ、仲良しだね」
そう言いながら私は爺やに手を振り、アスファルトと金網のフェンスの建つ川沿いの道を二人と一緒に歩きつつ、親睦を深めるためにお話しをする。
お姉さん、一つ年上の本条小鎌さんは基本的にお節介を焼いてしまうタイプなのは分かるし。弟の本条句君は同い年で、格闘技が大好きだそうだ。
好きなことに熱心に励めるのは良いことです。
「私は風林館高校の2年生になるから、呉々もお嬢様の切さんに不埒な真似するんじゃないわよ?」
「姉ちゃん、この人オレより強いし喧嘩売ったら負けると思うぞ。まあ、こっちで勝負するなら、乱馬達とするつもりだし。切ちゃんとは楽しく高校生活するよ」
「はい!よろしくね、
「ふ、不安だわ」
まさか転校する前にお友達が出来るなんてビックリだけど。お友達が出来るのは嬉しい。前の学校でもお友達は居たけど、良き好敵手だったから……。
そう思いながら風林館高校の校門を抜けると足元に袴姿の男の子が倒れているのが見えた。よく見れば頭の上に大きなたん瘤と花瓶が落ちている。
「うっ、僕は一体…」
「大丈夫?」
「……美しい」
「?」
「句、敵よ」
「おう。姉ちゃん、先行っててくれ」
何だったんだろう?と小首を傾げる私に小鎌さんは「たまに存在する変態よ」と教えてくれた。へんたい。お父さんが気を付けるように言っていた人だ。
普通に見えたけど、へんたいなんだ。
「職員室で担任に会いに行くわよ、切さん」
「はい。あの、さん付けしなくていいよ?」
「あら、そう?」
「うん。小鎌さんは一つ年上のお姉さんですからさん付けするなら私だと思うから」
それに共同生活をするなら変に敬わなくても良いと思うから、気楽にしてもらえると嬉しい。ま、まあ、無理にとは言わないけど。
「糸色さんと本条君は1年F組。本条さんは2年E組だね。じゃあ、本条君が来るまで糸色さんは待っててもらえるかな」
「はい。またお昼休みか放課後に」
「えぇ、弟をよろしくね」