春眠香の騒動後。
クラスメート(主に女の子)の九能先輩に対する態度は険悪に変わり、よく分からないけど。励まされたり、慰められたりと色々としてもらった三日後。
私は親戚のおじ様の屋敷に来ている。
「おじ様、見せたいものって?」
「ああ、この大鏡だ」
「大鏡……あの、封印って書いてあるかな」
「ただの様式美だよ。安心しなさい」
そう言っておじ様は鏡のシーツを剥がし、私の事を映す。綺麗な鏡、しっかりと手入れされているし、傷や汚れは愚か曇りもない。
「ラッキー♪︎おっぱいの大きくて可愛い女の子が映ってくれた♪︎」
「はえ?」
「ってんにゃあはぁ!?片目見えない!?あ、ぼやけてるけど、見える!?こわっ?え?うわ、なにこれおっぱい重っっっ!!?」
「……おじ様、私のドッペルゲンガーが、すごーく変だから取り替えてほしいかな」
「ワシはアホの切を見たかっただけだ。さらば」
おじ様は満足して二階に向かい、爺やに直し方を聞けば封印のカーテンをもう一度掛ける必要があるということを教えられ、ちょーっとだけ困ってしまう。
いったい、どうしようかな。
「んッ…貴女、名前は?」
「私は糸色切かな」
「いとしききりぃ?私もそんな名前だった気がするわ!それにしてもこんなにおっぱい大きいのに、よく動けるわね。何センチあるの?」
モゾモゾと服の中を覗こうとするドッペルゲンガー(昔に亡くなった家族の幽霊さん)を止めつつ、どうしようかと悩む。私の姿を真似ている以上、私に負担を押し付けることになるかも知れないかな。
いや、下手したら、もっとかな。
あとナンパ?というものをしてほしくない。
「とりあえず、私の家に来る?」
「行くわ!ついでにナンパしましょう!」
「ごめんね。私、既婚者だから」
「うっ。それは不味いですわね」
ウンウンと唸るドッペルゲンガーを連れて、山道を降る。チラリと私の方を見る彼女の考えは分からないものの。多分、悪いことじゃないかな?
……それに、車を使えば簡単に降りられるんだけど。私のドッペルゲンガーということは絶対に酔うかな。
そうなると可哀想だから歩く。
「ねえねえ、キリさんの旦那様ってかっこいい?」
「うん。すごーくかっこいい」
生徒手帳に挟んでいる九能先輩の写真を見せたら「ウ~ン、坊主頭も似合いそうなお方」と呟く彼女に私は同意する。流石は私を真似た人かな。
九能先輩、もう一度だけで良いから坊主頭にしてくれないかな。そうしたら、すごくすごーく可愛くて私は嬉しくなるのにね。
「キリさん、此方の人は?」
「それは本条句君、私の付き人でお友達かな」
「彼女はいるのかしら?」
「いるかな」