「ドッペルゲンガーって、切さんね」
バタバタと私のクローゼットや箪笥を漁って可愛い服に着替えるドッペルゲンガーを見つつ、小鎌さんのものすごーく困ったような顔に苦笑を浮かべる。
流石に私もこれには困っているかな。
「ねえ、キリ!留められないわ!!」
「それは前から着けるヤツかな」
「くっ…!」
なんで、小鎌さんはダメージを?と不思議に思いつつ、九能先輩に貰ったものの、恥ずかしくて着ることの出来なかった服を着るドッペルゲンガーを見る。
私って、端から見るとすごいね。ずっと胸が動いているし、バランスを取るのも大変そうだ。よくあんなに早く動けていたかな。
「よし、ナンパしてきますわ!!」
「え?」「ん?」
「いざ、ナンパ!」
マンションを出ていったドッペルゲンガーを見送り、暫しの沈黙の後、慌てて追いかけるも句君が首根っこを掴んで持ってきてくれた。
「き、筋肉がすごいですわあ」
「分かる。句君は筋肉の暴力だよね」
「少し減らしなさいよ、暑苦しい」
「ランニングから帰っただけで、罵倒と褒めを同時に受ける理由を聞きたいんだが?」
そういうときもあるかな。
まあ、どうやって止めるのかを考えないとね。
「で、誰だこいつ?」
「私のドッペルゲンガー」
「要は物真似だな。…しかし、目のやり場に困る服だな。なんで全身に張り付いてるんだ?」
「九能先輩がプレゼントしてくれたんだよ」
「成る程、流石だぜ。帯刀先輩」
そう言って九能先輩を褒める句君に侮蔑の眼差しを向ける小鎌さん、それを不思議に私とドッペルゲンガーは眺める。九能先輩がなにかしたのかな?
「切ちゃん、そいつはどうするんだ?」
「一応、爺やが封印のカーテンを縫い直しているから、しっかりと相手するつもりかな。あと、ナンパ?っていうのも手伝う約束したから」
「切ちゃんが、ナンパ?」
「無理に決まってるじゃない」
「なんで?」
「「いや、ナンパは浮気の第一歩だし」」
「この約束を違えるけど。許してほしいかな」
─────浮気は悪い文明だよ。
絶対に浮気なんてしない。
「いい、浮気は死罪なんだよ?」
「すげえこと言い切ったぞ」
「切ちゃん……というより糸色家の女の習性ね。浮気を許さないし、嫉妬する癖に嫉妬する自分に落ち込むし、好きな人に愛されたい一心が吹き荒れてるわね」
事実だから否定はしないかな。
でも、そんな風に思われていたのは流石にショックを受けるし。そういう小鎌さんも句君も血筋的には糸色だから、似たようなことをしているかな。