前髪を開いて、おでこを出すドッペルゲンガー。
「うん、良いですわね!」
「私の制服なんだけどな」
そう呟きながらも一緒に通学路を歩いていると、ナンパしようとする彼女の襟首を句君が掴み、小鎌さんがしっかりと注意してくれる。
フンスと胸を自慢するように張るドッペルゲンガーに私の身体だから恥ずかしいことしないでね?と伝えつつ、下駄箱でスリッパを借り、彼女を連れて教室に入ると、あかねさんがいた。
「おはよう、あかねさん」
「おはよう、切さ、……増えた?」
「ドッペルゲンガーかな」
「きゃー♪︎かっこいい男の子いっぱい♪︎」
「「「「うおおおおおおおっ!!?」」」」
むぎゅうっとドッペルゲンガーが大介君に抱き付いた瞬間、彼は鼻血を噴き出して倒れた。みんな、なんでそんなに喜んでるのかな?
私、すごーく恥ずかしいんだけどなっ。
「早乙女君も何普通に抱き付かれてるのかな?」
「いや、折角だから……」
「「「折角だから、なに?」」」「わあーお」
私が怒ろうとしたらあかねさんとシャンプーと右京さんの三人が早乙女君に詰め寄り、その間にドッペルゲンガーの被害者は増えていく。
みんな、私とその子の見分けつかないかな。
そんなことを考えながら、みんなのことを止めるべきかを悩んでいると二ノ宮先生が入ってきた。そして、なぜか句君が二ノ宮先生を抱っこしていた。
いったい、なにが?と困惑する私の視線に気付いたのか。句君も困惑した顔で私を見つめていた。どうやら職員室で何かあったのは事実かな。
「みんな、席についてー」
「先生、男子が貧血です」
「じゃあ、寝かせててー」
珍しく適当な二ノ宮先生を見つめていると、先生が私とドッペルゲンガーを見比べて、ものすごーく困ったように首を傾げている。
いきなり増えたら驚くかな。
「糸色さんは、ふたり、と」
普通に出席を取るんだと思う反面、今日の二ノ宮先生は大人のように落ち着いているようにも見える。……よく見たら、句君に五十円玉を押し付けている。
ジワジワと吸っているわけだね。
「一時限目は物理だからね」
「ひなちゃん、そろそろ降ろしていいか?」
「だめでーす」
「うぅむ」
句君は二ノ宮先生にいったい何をしてあんなに怒られているのかと不思議に思いながら、彼女の眺めているとき、ふとドッペルゲンガーがいなくなっていることに気付き、慌てて立ち上がるも予鈴が鳴ってしまい、二ノ宮先生の代わりに物理の先生が教室に入ってきた。