「ま、全く、変態さんすぎるかなっ」
「ハッハッハッ」
「笑い事じゃねえっての……そういや、ドッペルゲンガーどこ行ったんだ?」
「え?」「ムッ」
制服を整えてスカーフの位置を直しながら、私は早乙女君に庇ってもらっているとき、ドッペルゲンガーがいないことに気付き、慌てて校庭を渡り廊下の窓から見て、彼女の事を探す。
けど。どうしても片目だけで探すには時間を掛けてしまうと少しずつ焦りが募っていく。私の身体で変なことをしないでほしいかな。
「野球部のところにいるぜ」
「ムッ。よく見つけたな」
「アイツ、坊主頭が好きだろ」
「私も好きだよ?」「切君、髪は剃らないぞ?」
かわいいのに。と、私は思う。
それよりも早乙女君の見つけてくれたドッペルゲンガーを追いかけて、私達も移動しようとしたその時、早乙女君は句君を連れた二ノ宮先生に捕まった。
掃除はちゃんとしないとだもんね。
そう思いながら渡り廊下を飛び下り、槍を地面に突き立てて滑り、衝撃と勢いを押さえつつ、グラウンドを走っている私のドッペルゲンガーに向かって、思いっきり力任せに槍を投げつける。
ギィィンッ……!!
「ひょえっ」
「私の身体で何してるのかなあ?」
縮地、舞神法、神速の足捌きを用いて、全力疾走してドッペルゲンガーの目の前に立ちふさがり、彼女の事を見下ろす。鼻血を噴き出して失神する男子と、幸せそうに鼻血を噴き出して目を閉じ、気を失っている久我銀子を見つめて、大体の状況は理解できたかな。
「ここに入ってほしいかな」
「あっ、それ九能の使ってたヤツうぅぅ!!」
ギュウッ…!とドッペルゲンガーが吸い込まれた。
本当に不思議なアイテムだと感心していたとき、またしても私の手からコンパクトは消え、目の前を横切るお爺ちゃんにこめかみを押さえる。
「すまんのう、切ちゃん!ワシのコレクションを隠すために少しだけ貸しとくれえい!!」
そう言い残して、そそくさと走り去っていくお爺ちゃんを追いかける集団に合流し、九能先輩と早乙女君も追い付いてくれたものの、身軽になったお爺ちゃんに追い付くには、かなり時間を浪費する。
「おのれ邪悪妖怪めが!」
「九能先輩ッ、オレのこと木刀で打ち出せ!」
「分からんが良かろう!」
横薙ぎの一閃を足の裏で受け、早乙女君は前へと加速し、更に気弾の放出によって加速し、お爺ちゃんの小さな背中に向かって頭突きを見舞う。
「い、いじぃ…ッ」
「早乙女君、大丈夫?」
「で、でぇじょうぶだ」
……本当に大丈夫かな?