ドッペルゲンガーら封印のカーテンの中に無事に入ってくれたものの、九能先輩のドッペルゲンガーも現れ、危うくピンチになるところだった。
向こうで仲良くしていてほしいかな。
そう願いながら、もうすぐ卒業する九能先輩の隣を歩く。こうして一緒に歩くのも数週間後まで、もうちょっとだけ一緒に過ごしたかったかな。
「切君は高校を卒業したら何をするんだ?」
「お父さんの仕事を継いで、九能先輩のお嫁さんになるかなって思っているかな」
そう言うと九能先輩は嬉しそうに頬を緩め、笑う。でも、あんまりハレンチな事やエッチな事をお願いするのはやめてほしいかな。
私、あんまり知らなかったけど。
普通はダメなんだよ?
「ムッ。誰だ余計な事を言ったのは」
「天道先輩かな」
「おのれ、天道なびき!」
ワナワナと怒りに震える九能先輩。
…………そんなにハレンチな事好きなのかな?
ちょっとだけ戸惑いつつ、九能先輩と歩いていると、早乙女君を追いかける女の子達を見かけ、なんだったのかなと小首を傾げてしまう。
「早乙女乱馬、いい加減素直になれば良いものを」
「恥ずかしがり屋なんだよ」
「ただのヘタレであろう」
否定はしないかな。
早乙女君も素直に好きだよって伝えれば、みんなも諦めてくれると思うんだけど。素直にならないと、あかねさんが誰かに取られちゃうよ?
まあ、あかねさんは一途だもんね。
「ところで、なぜ制服なんだ?」
「んー、気分かな。かわいい?」
「うむ、可愛い」
「フフ、ありがとう」
にっこりと笑って九能先輩にお礼を言うと「切君は昔から笑うときは変わらないな」とこぼし、そうかな?と自分の頬っぺたを触ってみる。
クツクツと笑う声が聴こえ、少しムッとしてしまうものの。昔と変わらないのは九能先輩もだと思うし。そんなことを言ったら怒るかな?
「ねえ、九能先輩」
「なんだ?」
「もうすぐ卒業だね」
「……うむ」
「大学で浮気しちゃダメだからね?」
そう言って手を握ると「そもそも切君以上に好きになった女の子はいないんだがなあ」なんて言っているけど。あかねさんに交際を申し込んでいたのは知っているかな。
まあ、私と再会する前だからいいけど。
……やっぱり、ちょっと悲しいかな。
そんなことを考えていると、九能先輩の手を握る力が強くなり、どうしたのかと九能先輩のほうを見るとお爺ちゃんが九能先輩に張り付いていた。
「おー、切ちゃん。デートかのう」
「うん、そうだよ。お爺ちゃんは?」
「ワシは下見に向かうところじゃ」
下見?
どこかに行くのかな。