もうすぐ九能先輩は卒業する。
天道先輩や小鎌さんも卒業する。
私達は三年生になるけれど。やっぱり寂しいものは寂しいので校長先生に相談したら、九能先輩と一緒に住む部屋を用意された。
「おのれ、よくやったぞ。ダディ!」
「? なぜ?」
困惑する私の隣で九能先輩は楽しそうに笑っている。マンションを借りるのって、そんなに簡単に出来るのかな?と小首を傾げつつ、句君と小鎌さんによって私は部屋の外に出ていく。
「切ちゃん、考え直そうぜ」
「そうよ。危ないわ」
「で、でも、私と九能先輩は夫婦だよ?」
「「その前に学生でしょうが」」
「ひぃんっ」
しょんぼりと二人の言葉に項垂れながら、部屋の外に出てきた九能先輩は首輪や縄を持っていた。
「帰るぞ」「帰るわよ」
「待てえい!切君は僕の妻だぞ!?」
「じゃあ、分別をつけなさいよ!?」
小鎌さんの怒鳴り声に少しだけビックリしながらも、こんこんと九能先輩に怒る彼女の言い分は正しいと思う。けど、ちょっとだけ可哀想に感じるかな。
慰めようと近付こうとしたら、この前の二番煎じになるからと句君に止められ、ようやく九能先輩の違和感に気付いてしまった。
え、エッチな事をしようとしてたの!?
「気付くの遅くないか?」
「切君、夫婦の営みだ」
「ほおう、縄と首輪で何が営みなんだ?」
「先ず、切君を縛るだろう」「黙れ、変態」
句君の質問に答えようとした九能先輩にビンタする小鎌さんを止めようとするも、私は句君に「落ち着け。まずは、姉ちゃんに任せよう」という言葉に、渋々と頷いて静観することにした。
「何が如何のだ!?」
「全部よ、全部!?」
「……縛るのがダメなのか?」
「分かってくれたのね」
「なら枷を嵌めるのはありか?」
「切ちゃん、枷はめたのか?」「え?普通だって聞いたよ?」
「箱入り娘にとんでもねえぜ、帯刀先輩」
そんなことを話していたら、小鎌さんの方からブチィッ!!と堪忍袋の尾が引き千切れる音が聴こえ、句君から視線を戻すと小鎌さんは大鎖鎌を構えていた。
「切さんに何てことするのよ!!」
「落ち着け!?落ち着くのだあああっ!!」
「刈り取ってやる!」
ドタバタと走り去っていく二人の事をマンションの廊下で見下ろす。
「追わなくていいの?」
「追わなくても良いだろう」
そういうものなのかな?と思いながら、追われる九能先輩は必死に鎖分銅を避けて、大鎌の刃を受けないように回避し続けている。
木刀、部屋の中だもんね。
あれは、どうなるのかな?
無事に帰ってきてくれると安心できるんだけど。小鎌さんがあんなに怒るということは、それだけ九能先輩はハレンチだったのかな?