「OH!!良いところにいたデース!」
「校長先生、どうかしたのかな?」
九能先輩と小鎌さんの追いかけっこの翌日。
放課後の夕焼けに染まる図書室で本を読んでいると、掃除道具を持った校長先生に出会い、栞を挟み、テーブルの上に本を置く。
のそのそとアロハシャツでやって来た校長先生は爽やかに笑って、掃除道具を差し出してきた。どうしたのかな?と小首を傾げていると、校長先生は消えていた。
「……掃除を押し付けられたのかな?」
ポツリと、そう呟く。
そういうこともあるかな。
お義父さんのイタズラかな?なんて考えながら掃除する場所の書かれた紙を見る。体育館の倉庫、なんでそんなピンポイントを掃除するんだろう。
不思議に思いながら、本から栞を抜いて本棚に戻し、電気の付いた廊下を歩いて体育館の倉庫へと向かって歩く。夜の学校って静かなのかな?
そんなことを考えながら歩いていけば、体育館の渡り廊下を通って薄暗い体育館の中に入り、電気を点けると誰もいない広い空間が見える。
「掃除って綺麗じゃない」
埃も無ければ汚れもない。
こんなところで掃除するの?と困惑していると跳び箱の方でガタンと動く音が聴こえ、思わず、ビクリと身体を強張らせてしまう。
おばけや妖怪は怖くないけど。
虫は苦手なんだよ……。
恐る恐る、跳び箱の一段目を外すと九能先輩が猿轡を咥えて転がっていた。かくれんぼかな?と一瞬だけ考えるも直ぐに跳び箱を一つずつ外し、九能先輩の口枷と手を縛った縄を解く。
「すまない。助かった」
「良いけど、何があったの?」
「……確か、五寸釘光に切君から手紙があると言われ、早乙女乱馬に殴られ、あかね君と右京君とシャンプー君とひな子先生に襲われ、天道なびきや本条姉にも襲われ、気が付いたら此処にいた」
「あ、あはは……」
いったい、何をしたんだろう。
ちょっとだけ怖く思ってしまう。
「さらばデース!」
「なッ」「へ?」
ガコンと地面が開く。
慌てて私を抱き締める九能先輩に驚き、逃げ切れる筈の距離に届かず、私はお尻を力強く鷲掴みしながら、胸に顔を押しつける九能先輩の顔を押し退ける。
「おのれ、ダデイィィィィッ!!!?」
「やだあ!!?お尻掴まないでえぇ!?」
「OH♪︎間違えてしまったデース!」
わざとらしく、そう言うお義父さんに向かって槍を使おうにもお尻を鷲掴みにされているから、槍を取り出したくてもホルダーの留め具を外せず、九能先輩と一緒に滑り台みたいな穴を落ちていく。