あの後、ビンタと折檻を受けた早乙女君はしくしくと泣き、句君は「くノ一の色香に負けただけだもんな」と変な慰め方を繰り返し、放課後になった。
「切ちゃん、ちょっとええ?」
「どうかしたかな?」
私もそろそろ帰ろうと本を閉じたとき、誰も居ないことを確認して教室に戻ってきた右京さんの呼び掛けにカバンを机に置き、席に座り直す。
すると、あかねさんの席に座った右京さんは真剣な表情を浮かべ、私に「あのくノ一を雇ってしもうたんやけど。大丈夫やろか?」と耳打ちしてきた。
雇った。
「えと、雇ったんだよね?」
「ん、せや。切ちゃん、旧家の娘さんやろ?忍者んこと詳しいかと思ったんよ」
「一応、知っているかな。先ず、日本に存在する忍者は大きく分けて二種類かな。アニメや漫画、映画に登場する火炎や竜巻を起こす忍者は超常忍者で、略称は『
ノートを開いて『超忍』と『通忍』と書く。
右京さんも何度も頷きながら理解し、少しワクワクしたように忍者の解説を聞いている。まあ、私もこういうことを話す機会はなかったけど。
「くノ一隠れ里は通常忍者に分類する。ただし、糸色謹製の科学忍具を持っていた場合、その個人のみ『超忍』という扱いも受ける」
「ちょいタンマや。科学忍具って何?」
「句君や小鎌さんが袖やスカーフの中から鎖や大鎌を出していたアレかな。ちなみに私は警察の警棒を納めるホルダーを改良した鞘に槍を納めているかな」
そう言って私は立ち上がって、ゆっくりとスカートを少し託し上げ、槍の石突きを見せる。
「成る程、そうやったんか。ウチのこの大ヘラも仕舞えたりするん?」
「仕舞えるよ。少し話しが、逸れちゃったけど。忍者を雇うときは諜報活動や毒殺、暗殺は認可しないという契約書を書いて、役所に届けておけばいいかな」
「役所なん!?」
「忍者と一緒に行けば直ぐに暗号を読み取って、専用の窓口に行けるから大丈夫だよ。私の付き人は句君と小鎌さんだけど、忍びもいるからね。そうでしょう、式尉」
「御意」「ひょわあっ!?ど、どこから!?」
「科学忍具の一つを利用して、その人の存在感を消してしまっているんだよ。まあ、私は匂いや体温で相手の位置を探知出来るんだけど」
そんなことを話しながら右京さんに式尉の持ってきてくれた忍者と主従を結ぶ誓約書に加えて、忍者の起こす騒動や事件に遭遇した場合の補助金の書類も差し出す。
「日本忍者協会会長、山地哲山?」
「すごーけ強いよ」
「……なあ、このフクロウ男爵ってだれ?」
「フフ、面白いおじ様かな♪︎」
アイアムノーサンキュー、なんてね。