「クラゲ大王?」
海の家のポスターの近く、大々的に載った巨大なクラゲとツーショットを取っている女の子の写真を眺める。ものすごく大きいかな。
本当に居るなら毒とか持ってそうと考えつつ、クラゲ退治に出掛けた筈の早乙女君と帯刀君が、ものすごーく痛そうに全身に絡み付くクラゲを引き剥がしている。
まあ、そういうこともあるかな。
「イデデデッ!!?」
「ムッ。ヌッ。ヌウゥゥ…!」
二人とも自分でクラゲを引き剥がし、海水プールの中にクラゲを入れ、また海の中へと潜っていき、また全身に絡み付くクラゲがいた。
あれは、大変そうだね。
「あかねさん、泳げそう?」
「あの量を見ると、怖いわよね」
「うん、絶対に痛いもんね」「ねえ」
そんなことを話しながらナンパというものに失敗するお爺ちゃんを見遣る。しとりお婆様と歳が近いのが、本当に不思議に思えるかな。
「あかね!あかねっ、背中のクラゲ取ってくれ!」
「良いけど、刺されない?」
「あかねさん、ゴム手袋かな」
「ありがとう、切さん」
帯刀君の背中に絡み付くクラゲも取ってあげ、痛みを堪える彼の首筋にカプッと噛みつき、神経を少し鈍くする毒を流し込み、痛みを緩和する。
「まだ痛いかな?」
「もう一度やってくれ」
「? はむっ」
カプッと首筋に噛みつき、毒を流し込む。
さっきよりも濃度を薄めて、傷口を塞ぐように舌を這わせて、舌先の粘膜を張り付ける。こういうのは、ちょっとだけ恥ずかしいかな。
「あかね、あれもやるか?」
「しないわよッ」
「なんでぇ、けっ」
流石に私も恋人のいる早乙女君に麻酔牙を突き立てて毒を流し込み、痛みを緩和する勇気はないかな。それに帯刀君にするのは、良いけど。
他の人にするのはダメな気がする。
「切君、痛みは和らいだ。ありがとう」
「フフ、頑張ってるから手助けしちゃったかな」
クスクスと笑っていると、帯刀君が私の口の中に指を差し込み、いきなり牙を触ってきた。んんッ、まだ毒が残っているかも知れないかな。
噛んじゃったら危ないし。
「なあ、あかね」
「ダメ。流石に結婚してないもん」
「お、おう」
向こうも楽しそうにしているけど。
早乙女君はたまにハレンチでいけないと思うかな。そもそも私がしているのはクラゲの毒を薬効成分でゆっくりと中和すること。
エッチな事じゃないかな。
「ところで、帯刀君。いつまで私の口の中に指を入れているのかな。流石に噛むよ?」
「ムッ。それは困る」
そう思うなら、やめてほしいかな。
まあ、ビックリしただけだからね。