「そうか、早乙女が指輪を」
「うん。すごいかな」
すごく嬉しい気持ちになりながら私は喫茶店アミーゴで、マスターに指輪の話をしながらコーヒーを飲む。ほろ苦さが舌と鼻腔を擽る。
いつもより、ちょっとだけ大人の味だね。
「しかし、若者の結婚は多いな」
「ウフフ、なら私が結婚してあげましょうか?」
「魔女先輩、いつの間に?」
「今よ」
スルリとカウンターを乗り越えた魔女先輩は楽しそうに笑みを浮かべ、マスターに右手の人差し指を突きつけ、今度はハッキリと告げた。
「ゲンジロウちゃん、私と結婚しましょう」
「待て待て待て!?お前は大学生だろ、こんな三十代以上のオッサンと結婚なんて何考えてるんだ!?他の奴らに当てられて、おかしくなったのか!」
「ウフフ、残念だったわね。違うわ、未来を見る魔女様は面白いものが好きなの。貴方の最適解はYESと答えて、頷くことだけ」
はわわっ…!
か、カッコいいセリフかな!私も帯刀君にそんなこと言ってみたいけど、私は魔女先輩みたいに背も高くないし、クールでも無いから難しい。
「オイ、あんまり大人をからかうな」
「連れないわねえ。未来を見る魔女が、面白いと言ったのだから交わり合える場所があるということよ。勿論、戦隊と仮面の先での話だけど」
「
「ウフフ、半分は正解ね。銀ちゃんは此方に引き込むのは無理だったけれど。金糸猴と静海は引き込めたわよ。サイコソルジャー組めるわよ」
二人の会話に小首を傾げていると、魔女先輩が私の方を見るとクスリと笑った。
「切ちゃん、あの男は怖いわよぉ?私が貴女より強くても魔法を使う前に喉を潰され、杖も指輪も使えず、一瞬で両手を砕かれるわ」
「マスターはそんなことしないかな。よく恋愛相談にも乗ってくれるし、私と帯刀君の結婚式にも来てくれる約束しているかな」
「あらぁ~っ、最強の怪魔様が絆されてるわ」
「ご要望通り。滅茶苦茶にしてやろうか」
こめかみに青筋を出すマスターの手を弾き、魔女先輩を引き寄せて竜頭拳に構える。今の、人間を殴った感触じゃなかった。
いや、違う。そういうことじゃないかな。
「マスター、ごめん。怪我してないかな?」
「いや、俺も悪かった。八束、大丈夫か?」
「えぇ、ビックリしたけど。マシュマロに包まれて、ちょっとした役得を感じているわ」
「……お前、この瞬間も見てたな」
「ウフフ、当たり前じゃない」
にこりと笑った彼女はまた彼を指差す。
「────だって、私は魔女だもの」