何だかんだと恋運ぶ呪いの花   作:SUN'S

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格闘スケート 急

無事に早乙女君とあかねさんの二人が格闘スケートに勝利したと安堵した刹那、二人の事を狙って真っ黒なチャイナ服を着た仮面の二人組が現れ、早乙女君とあかねさんに攻撃を始める。

 

タンカに乗って退場していた三千院帝と白鳥あずさの二人は襲撃を受けていない。おそらく二人の弱ったところを狙っての行動だ。

 

「あら、もう二回戦?」

 

「馬鹿者ッ、アレは本気で殺す気だ!」

 

そう叫ぶと竹刀袋に仕舞っていた木刀を抜刀し、鉤手甲を振るう男に唐竹割りを繰り出し、スケートリンクを砕き、水飛沫を振り撒く九能先輩は噴き上げる水を盾にして二人の事を守った。

 

「へえ、やるじゃない。九能ちゃん」

 

「天道先輩、此方も危ないかも」

 

どこか珍しい物を見たように感心する天道先輩に話しかけ、観客席の階段を陣取る仮面集団を見据える。幸いにも此方は早乙女玄馬もいる。

 

あの早乙女君を育て上げた豪傑だ。

 

『なびきさん、下がっていなさい』

 

パンダのまま構える早乙女玄馬の対峙する相手は大きな木槌を持ち、私に向き合う相手は槍を構えている。槍術薙刀術の名家に良い度胸しているわね。

 

「切さんっ、靴に何か仕込んでるわよ!」

 

「くっ!?」

 

後ろから聴こえてきた言葉を聞かなかったらお腹を貫かれていたと冷や汗を流し、袖の中に仕舞っていた如意棍槍を引き抜き、仕掛けを起動して伸ばす。

 

他の観客も異様な気配を察して遠巻きに見ているものの。ハッキリと言えば狭い場所で人を守りながら戦うなんて経験は私にはない。

 

「りゃあっ!!」

 

甲高い声と共に放たれた片鎌槍を如意棍槍の柄で受け止め、ギリギリと力を押し込めて私の後ろに立つ天道先輩に突きが当たることを防ぐ。

 

それに、この槍と技のキレは糸色家に仕える諜報機関の物に酷似している。だけど、あの組織が表立って動くときは当主の意思を必要とする。

 

「これは、糸色遠を当主に添えたくない次期候補派閥の差し金かな?」

 

そう呟けば動きにズレに生じ、私の放った石突きでの八寸が鳩尾を潰し、意識を一撃で刈り取る最中、早乙女玄馬は木槌を摘まんで押さえつけ、軽めのデコピンで相手を吹き飛ばしてしまった。

 

「おじさま、強かったのねぇ」

 

「無差別格闘流は百年近く歴史を持つ武術だから二分割したって事はついぞ後継者を極めることが出来なかった。まあ、分かりやすく言えば早乙女玄馬と天道早雲の二人は強すぎて、どちらも継げなかったんですね」

 

そうでなければお父さんも本条姉弟を私の社会体験の護衛に選ぶ事はなかったかな。

 

 

 

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