のんびりと過ごす。
図書室の本はもう全部読み終えてしまったし、いつもの古本屋はぎっくり腰で臨時休業している。散歩しながら風林町の中を歩いて回る。
この二年と少しを過ごした不思議で面白い町。幼馴染みと再会して、恋人になれて、結婚もしちゃったのもこの町で過ごしていたからかな。
怖いことはなかったけど。
ビックリすること。変なこと。厄介すぎる上、ちょっと可笑しい出来事もいっぱい体験し、親友と呼べるお友達が三人も出来た。
「早乙女君、こんにちは」
「おお、糸色もアルバイト探しか?」
「ううん。私は、ただの散歩かな。早乙女君は?」
「オレはアルバイト探しだな。お袋に指輪貰ったけどよ、その、なんだ、オレからもあかねに渡したくて色々と探してるんだよ」
「フフ、いいことだね。応援しているかな」
そう言って褒めながら猫飯店でアルバイトを募集していた事を伝えると「ばあさんに聞いてみる」と言い、早乙女君は走り去ってしまった。
やっぱり、三年間の一途な愛が実るのはいいね。
「……また、視線を感じる」
いい加減に鬱陶しく感じる視線の主を探すように目に力を込め、空を見上げると羽の生えた変な生き物……というより鳥人間が見えた。
臨獣拳の奥義のひとつ、獣人邪身変?
いや、それにしては姿が違うかな。
アイツら、一体何を探している?
少しだけイヤな予感を感じながら、散歩に戻るついでに彼らを調べるように忍び達に伝えて、しっかりと気配を覚える。
匂いを感じる事に長けた蛇は逃さない。
「シャンプー、何処じゃー!?」
「ムース?」
「おお、シャンプーか!?」
「んッ……違うかな」
ガシッと抱きついてきたムースにビックリしながらも眼鏡を貸してあげると、顔を真っ赤にして謝ってくれた。眼鏡はちゃんと返してほしいかな。
「す、すまんだ」
「フフ、大丈夫だよ。それよりシャンプーを探しているの?」
「んだ。オラが出前に行っとる間に地蔵様と一緒に何処かに行ってしまっただよ。買い物なら荷物持ちすると言っているのにッ!!」
う、ううん、反応に悩むかな。
悪い人じゃないのは知っているけど。
あまり言えないけど。
ムースはおっちょこちょいのドジっ子さんだから、一緒に買い物すると危ないことになりそうだから、離れているだけかも知れないかな。
「シャンプー!地蔵様ー!」
カラカラと自転車を走らせるムースを見送り、なんだか大変な事になりそうだなと思う。実際に大変な事になるのはムースだけど。
お友達の心配は当たり前のことかな。
次回作は「ゴールデンカムイ」編です!