「……本当に大丈夫なのかよ」
「まだ頭の中にキーマ様を追えって命令は残っているけど。問題なく動けるかな。それより四人は怪我してない?句君と式尉は攻撃しちゃったけど」
そう自分のしてしまったことを呟いて悲しくなる。私は、自分の大切な家族を攻撃した。だから、この戦いが終わったらバット・リー様に頼み、私は「獣拳不闘の誓い」の枷を身体に埋めて貰う。
身体能力はそのままだけど。
もう二度と闘気は使えない。
それは視力を補っていた力を失うことを意味するけれど。当主になる私には不必要な力だから、これからは杖か棒を持てば普通に歩ける。
「……ところで、速く服を着てくれねえか」
「服は取られて、これしかないかな」
「っ、じゃあ、オレのヤツを着てろ!」
「わぷっ、……んしょ、ありがとう。早乙女君」
「けっ」
照れくさそうに顔を背けて、階段を駆け上がっていく響君とムースの二人を追いかけ、私達も走り始める。あの卵の刷り込みの強さはかなりキツい。
もう一度入って鏡か何かを見れば、自分の意識で自由に動けるようになるだろうけど。ゆっくりと自分の身体を確かめながら走る。
視線を感じる。
「………………何か言いたいの?」
「ブラジャー、どうした」
「着けてないよ。というよりつけられなかったかな」
そう言った瞬間に早乙女君は咳き込み、円形の刃の付いた杖を落としそうになる。
「いまだ!!」
「しゃらくせえっ!!」
向かってきた鳳凰山の兵士の羽の関節を外し、落とした兵士を早乙女君が殴る蹴るの打撃を叩き込み、意識を奪っていく。
「……これ、私のスカートとセーラー服だ」
「なんで男が持ってるんだよ」
「洗濯籠持ってるし、洗濯係だったのかな?」
そんなことを話しながら、洗濯籠を漁って自分の下着と鞄を見つけ、早乙女君が背中を向いている間に手早く着替えを済ませる。
キュッとセーラー服のスカーフを結び、鞄の中に雑に押し込まれていた槍も服の中に仕舞い、鞄を持ってまた階段を駆け上がっていく。
「こういうのラッキースケベって言うらしいよ」
「ブフッ!?な、なに言ってんだ!?」
句君が教えてくれたかな。
「出口だ!行くぞ!」
「分かったかな」
段を飛ばして駆ける早乙女君の後ろを走って空の上に橋を架けたような場所に出て、響君とムースを見つけるもキーマ様達と争っている雰囲気はなかった。
「ちょっと面倒くさいかな」
「ウソだろ。おめえらもかよ」
そんなことを呟く早乙女君の隣に立ち、みんなに傅かれながら現れた子供を見据える。僅かに感じる気配、これはロンの纏っていたものに似ている?