いきなり部屋に連れ込まれたときは焦ったものの、流石に時と場合を考えてビンタして止めました。キーマ様の命令によるものか、少し理性的ではないかな。
「うむ、仕方ないか」
そう言って私にビンタされた頬を押さえる帯刀君と一緒に響君とムースの二人を背負い、階段を駆け上がっているとひび割れ、砕けた壁の向こう側に早乙女君が見えた。
龍と鳳凰の石像も見える。
あれが鳳凰山の目的?
───けど、あかねさんがいない。
「句君、あかねさんはどこにいるの!」
私の声に気付き、此方を見上げる句君と式尉の表情は悲痛に歪み、怒りと悲しみの混ざった眼差しに嫌な事が脳裏を過り、繭に包まれたサフランを睨み付ける。
許さない。
絶対に、許さないッ!!
「切君?───ッ、腕が変になってるぞ!?」
「……ごめんね。私、化け物になる」
ゆっくりとムースの事を降ろし、帯刀君に二人の事をお願いして壁の向こう側に飛び込み、ゴウゴウと流れ落ちる熱湯の近くに座り込み、普段の快活さを失い、女性ものの服を抱く早乙女君の事を見下ろす。
「早乙女君、あかねさんの敵は討つね」
そう言って私の身体は変わる。
激獣拳の拳士として越えてはいけない一線は怒りと妬みと憎しみによって臨気を纏うこと。────だけど。親友を喪って平常心を保つなんて無理だ。
「獣人邪身変」
パキリと私の身体は
「ホウ。臨獣の使い手か、面白い」
「面白くなんかない。私はただお前を殺す」
「フン。余を殺すなど笑止!」
飛んできた繭の糸を手刀で切り裂き、腕に絡み付く糸に闘気を吸われ、身体が人間に戻り掛ける。ふざけるな、私の力をお前ごときに扱えるものか!
そして、なによりも!
あの人は、彼女は───ッ!!!!
「私の親友を返せえぇぇ!!!」
ゴックン…!
糸に噛みつき、闘気を吸い上げる。
「吸収勝負か、面白い!」
「式尉、句君、みんなをお願いね」
帯刀君を見上げて、私は微笑む。
絶対にあかねさんを取り返してやる。
「蟒蛇を嘗めるなァ!」
繭の中に両腕を突き立て、サフランを掴む。
身体の臨気が抜ける。
普通の闘気に性質が戻り、蛇の身体が人に戻り、また蛇になる。サフランの激気でも臨気でもない別種の闘気に身体を蝕まれ、身体に金色のラインが走り始める。
「(なにっ、これ?!熱いッ、ちがう痛い!?熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!!!)」
痛いから、なんだッ!
私の親友はもっと苦しくて痛かったはずだ!
「全部、まとめて返せぇ!!!」